プロローグ
 シュビュビュビュビュビュビュッ!
 ってな感じで宇宙空間をぶっ飛ぶ宇宙船。
 宇宙は真空だから、音が聞こえないという些細な問題は、この際どーでもイイッ!
 言ってしまえば音なんてものは特殊効果なのだ。
 そう、キミたちが今から目にする歴史的瞬間を華麗に彩る演出なのだ!!
 さあとくと見るがよい、薄暗い船内の人間っぽい感じのシルエットを――。これがなんだかキミたちにわかるか?
 フフン、わからないだろうな。なぜって発電機が壊れて船内が暗いからだ。これではいったい彼らが何者なのかわかるまい。
 知りたいか?
 知りたくないと答えたそこのキミも段取りを考えて、知りたいと大声で叫びたまえ。
 だが、教えん!
 しかし、彼らの会話を聞けば多少のヒントにはなるだろう。
「騎士団長殿、あれが地球です」
 謎の男の声に続いて、騎士団長と呼ばれた若い男の声が、
「あの惑星ではサルどもがのさばり、さらに報告によれば我らの同胞がその奴隷にされているらしいな。しかし心苦しいが、同胞を救い出すことが我々の目的ではない。目的はただひとり――ん?」
 ガサガサ…ゴソゴソ……ササササッ。
 どこからか聞こえてきた背筋にゾクッとくる音。
 騎士団長が叫ぶ!
「ギィヤァァァァァァァッ!」
 モニターに映し出された地球に被っている黒い物体。
「スペースGだァァァァッ! なななな、ちゃ、ちゃんと出発前に清掃のオバチャンを呼ばなかったのかっ!」
「だ、団長大変です! 食料庫からスペースGの大群が溢れ出てきます!」
「フギャァァァァァァァッ!!」
 奇声をあげた騎士団長は腰の大剣(たいけん)を抜き、ブンブン振り回した。
 ドン、ガン、シャン!
 見るも無惨に破壊された電子機器がスパークする。
 今宵は祭りじゃ祭りじゃ! っと言わんばかりに狂喜乱舞する団長。
 こっちもこっちで、団長を止めるのに必死で踊らされる仲間たち。
 しかし、とある仲間の発した一言で、この場は凍りつくのだった。
「……あ、墜ちます」
宇宙船が大気圏にダイビング。
 オチだけに墜ちるとは、なんとも恐ろしき。
 キミたちは歴史的な瞬間を見たのだ。
 そう、Gは宇宙共通で怖い。
「うぎゃぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っ」


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