STORY
風だけが覚えている、
記されなかった物語。
旅の吟遊詩人ギルバードが迷い込んだのは、月夜の続く村ランベル。道標は失われ、森は旅人を帰そうとせず、湖のほとりには白い花だけが静かに咲いていた。
やがて彼は、月光から身体を与えられた少女と出会う。名前を持たず、朝を知らず、森の外を知らない彼女へ、詩人はひとつの名と歌を贈る。
しかし、名づけることには代償がある。森の掟、銀仮面の司祭、月境の向こう側。残されなかった名と、それでも消えなかった想いをめぐる幻想譚。