黄砂を浴びて
 灼熱の太陽が燦然と降り注ぐ枯れた大地に少年はいた。
 舞い上がる黄砂に吹かれながら、少年は砂に埋もれる足を一歩一歩着実に動かし、どこ行く当てもなく歩いているようだった。
 少年の年の頃は15、6歳と言ったところだろうか?
 頭には耳の垂れ下がった犬に似ているパイロットハットを被り、その帽子にはゴーグルが付けられ、身体を覆う茶色い服は帽子と同じ素材らしき色褪せた皮製の物で、その服は砂や陽の光を拒むような厚手の服だった。
 衣服の所々は汚れ、解れ、破れ、少年の旅が長いものだったことを物語っている。
 ――そう、少年は旅慣れた物腰をしていた。
 そのことは少年の表情からも見て取れた。
 深く被った帽子から覗く瞳は、遥か彼方を見つめているようで、なにも見つめていないような眼差し。
 少年はあの先になにを見る?
 そして、なにを求め、旅をしているのだろうか?

 ――少年の果てしない旅はつづく。

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