若き面師イロハ=ナギは、帝都カミザの片隅にある無認可工房で働く中級面師。
かつて戦争孤児だった彼女は、生まれた家の面も職の面も持たない“仮面籍の外側”の子どもだった。
そんなイロハが王宮奥の白影宮へ呼ばれる。
そこにいたのは、王朝の中心に生まれながら、本来あるべき皇女の面が存在しない少女、サヨ=ミカゲだった。
同じ頃、満月の夜に面が白く変じ、人々の役が喰われる異変《名を喰う月》が帝都に広がりはじめる。

Story
東方大陸エイシャ=ノワ。
人は名前だけでは社会に存在できず、家・職・祈り・死者の役までも仮面によって定められる。
若き面師イロハ=ナギは、帝都カミザの片隅にある無認可工房で働く中級面師。
かつて戦争孤児だった彼女は、生まれた家の面も職の面も持たない“仮面籍の外側”の子どもだった。
そんなイロハが王宮奥の白影宮へ呼ばれる。
そこにいたのは、王朝の中心に生まれながら、本来あるべき皇女の面が存在しない少女、サヨ=ミカゲだった。
同じ頃、満月の夜に面が白く変じ、人々の役が喰われる異変《名を喰う月》が帝都に広がりはじめる。
戸籍・身分・職能・家格をまとめる制度。面を持つことが存在すること。
満月の夜、面に宿る役を白く喰らい、動作や資格や誓いを奪う異変。
制度上、まだ存在しない役に触れる危険な面。イロハの核となる秘密。
舞台・役・観客を見つめる舞神。物語そのものを幕として観測する。
Episodes
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月光を浴びて白化した神楽面。
若き面師イロハは、舞を失いかけた神楽師ユラを通して、“名を喰う月”が人の役を奪う怪異だと知る。
面を持たない皇女サヨの白影宮で、空の面箱に満月が宿る。
イロハは、皇女の未在面と自らの面《ナギノオモテ》が深く結びついていることを悟る。
若き武士ハルマサの戦面が白化し、刀を抜く役が喰われる。
イロハは危険な仮置きによって、彼の刀が「斬るため」ではなく「守るため」にあることを呼び戻す。
暦では半月の夜、陰陽寮の式面の内側に満月が現れる。
イロハと陰陽師セイランは、月喰いが個人の面を超え、王朝の暦と制度にまで及び始めたことを知る。
典役卿アリノリ=シジョウと定役面《コトサダメ》が、イロハたちの役を正しさで封じようとする。
制度の裁きに対し、まだ存在しない役の可能性が問われる。
仮面籍からこぼれた者たちが暮らす灰面長屋。
イロハとサヨは、面を持たぬ者にも確かにある足音と居場所に触れる。
ウズメの舞殿で、舞台に立てぬ皇女と白札の神楽師が向き合う。
舞われるまで名を持たない役が、舞台の床下から呼び起こされる。
ミナ=クラの冥祀社に白い面が運び込まれる。
戻すべき役と、送るべき役の境界で、イロハは冥祀の面と向き合う。
焼け残った木目を手がかりに、イロハたちは地図に載らない無面原へ向かう。
そこで皇女の未在面と《ナギノオモテ》の罪が明かされる。
名喰月見台で、保護という名の封印と封役の儀が始まる。
サヨは自分の役を選び、イロハはまだ名のない面へ最初の一彫りを刻む。
Characters
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役を持たなかった少女。未在生面《ナギノオモテ》を持ち、月に喰われた役の欠けを見る。
資格を剥奪されたモグリ面師。イロハに禁忌の生面を与えた人物。
王朝の中心に生まれながら、皇女としての面が存在しない少女。
皇女サヨを守る若き近習。護衛でありながら王朝の命にも縛られる。
制度側から面の異常を判定する上級面師。冷静な検面官。
暦・方位・式神から《名を喰う月》の条件を読む理論派。
戦う役を月に喰われた若武士。抜けない刀の戦面の当事者。
舞える役を持っていた少女。舞台へ踏み出す最初の一歩を喰われる。
死者の役を扱う冥祀僧。冥面・役解き・面焼きを司る。
存在する役だけを認める宮廷内の強敵。定役面《コトサダメ》を持つ。
仮面制度を理解しながら、どの役にも属さない白い観測者。
舞によって、まだ存在しない役をこの世に呼び込む異端の舞神。
Cover Arts
Locations
帝都カミザ、面師小路、王宮、無面原、神域。
政治・宗教・仮面籍の中心都市。王朝の美と制度の冷たさが同居する。
イロハとロウセツの工房がある裏通り。正規の面師に断られた面が最後に辿り着く。
皇女と王朝の深部に近づく宮域。白木、朱塗り、月白の回廊が広がる。
まだ役を持たない木が生える禁忌の地。未在面の素材と関わる。
王朝の正統性を支える表の神域。ソウリン大御神を祀る。
死者、失われた面、剥がされた役を祀る冥祀の神域。
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