角を持つ者、翼を持つ者、尾を持つ者、種族名を失った者、戸籍から消された者、神殿から追放された者。
外界が「魔族」と呼ぶ者たちは、ここではひとつの血族ではなく、世界のどこにも居場所を持てなかった者たちの共同名として生きている。
拾名屋リィゼ=ノルカに助けられたノアは、自分はこの大陸の住人ではないと訴える。
帰る場所がある。
帰るべき名前がある。
だが、漂着者帳に残った名は、ノア=リントベルではなく、末尾のほどけた仮の呼び名だった。
Story
角を持つ者、翼を持つ者、尾を持つ者、種族名を失った者、戸籍から消された者、神殿から追放された者。
外界が「魔族」と呼ぶ者たちは、ここではひとつの血族ではなく、世界のどこにも居場所を持てなかった者たちの共同名として生きている。
拾名屋リィゼ=ノルカに助けられたノアは、自分はこの大陸の住人ではないと訴える。
帰る場所がある。
帰るべき名前がある。
だが、漂着者帳に残った名は、ノア=リントベルではなく、末尾のほどけた仮の呼び名だった。
黒い岩柱が角のように並ぶ西岸の港。漂着者、亡命者、流れ着いた名が最初にたどり着く場所。
名を奪うためではなく、この大陸でひとまず呼ばれ、生きるために与えられる暫定の呼び名。
漂着物を売るのではなく、そこに残った名・祈り・身元の手がかりを拾い、返せる先を探す仕事。
異なる血と変異と追放理由を持つ者を、同化させずに国家として束ねる黒冠の大陸。
Episodes
全13話を編ごとに整理し、スマホでも読み込みやすい節ページへ直接移動できます。
Cover 01
Cover 02
Cover 03
第3話
港を発ち、受け入れの門アシュ=ロアへ向かうノアたち。門は名ではなく、どこへ戻れないのかを問いかける。
Cover 04
第4話
ナハト=リムの無籍者共同住宅で、ノアは審査官から「今の呼び名」で生きる者たちの制度を知る。
Cover 05
Cover 06
Cover 07
Cover 08
第8話
ノイ=カランの灯が、背後で小さくなっていく。
Cover 09
第9話
グリム=ラハドの朝は、夜の残り香を捨てきれない。
Cover 10
第10話
ザイ=ヴェルムを越えたあと、黒冠街道はしばらく無言だった。
Cover 11
第11話
黒い鏡は、ノアの顔を映さなかった。
Cover 12
Cover 13
Cover Gallery
第1話から第13話までの表紙イラストを一覧で確認できます。画像を押すと拡大表示できます。
Characters
画像を押すと拡大表示できます。立場別フィルターで関係性を整理できます。
外界の漂着者
黒い海を越えてメギド=ノクスへ流れ着いた少女。自分はこの大陸の住人ではないと信じ、まず帰ることを望む。
港の拾名屋
ヴァル=クレイアで漂着物と失われた名の手がかりを拾う少女。口は悪いが、帰りたいという願いを笑わない。
漂着者保護官
漂着者を仮庇護対象者へ移す現場の大人枠。帰れない現実を知りながら、帰りたい権利を否定しない。
外界の回収者
ヴァルテリア記録院系の特別回収官。名簿に載る者は名簿の場所へ戻されるべきだと考える外界側の敵。
閉門派の女侯
黒冠議会の強硬保守派。受け入れの国を守るため、誰よりも受け入れを疑う内側の壁。
変異倫理監査官
ノクス=グラナ中央観測院の主任研究審査官。異常を罪にせず、保護と搾取の境界を見極める。
無籍者審査官
ナハト=リムの偽名証発行官。正しい名を暴くのではなく、今壊れずに生きられる呼び名を探す。
七侯の使者
七魔侯会議場直属の使者兼審査官。漂着者や亡命者を、どの庇護家が受け入れるべきか裁定する。
招かれざる鏡
帰れぬ者たちの国を観測しに来る鏡の神格。ノアの「帰る」という言葉をそのまま映し返す。
黒冠の魔王
分類できない者、帰属できない者、記録されない者を、分類しないまま庇護する魔族国家の王。
Locations
魔大陸の入口、受け入れの門、無籍者の街、黒冠の王都。