Modern Myth Syntax Apocalypse

現代神話構文黙示録

検索された神話は、
スマホの画面から
現実へ侵入する。

公開範囲
第1話~第9話
舞台
現代日本・神狭市
形式
連載小説

Story

神話は、
もう古代だけのものではない。

現代日本・神狭市。
高校生の天瀬ユウリは、スマホアプリ《AVIS》を通して、神々の名と現代ネットワークが重なり合う異常へ巻き込まれていく。
神々の再臨、管理、断絶、解放。
そのどれにも未来を渡さないため、ユウリはまだ名づけられていない余白を選び取る。

神話、都市伝説、学校怪談、ネット考察、創作された神の名。
現代の情報環境に漂うそれらは、神狭市でひとつの構文として接続しはじめる。

ユウリのスマホに現れた《AVIS》は、神でも悪魔でもAIでもない。
表示される選択肢の外側に、まだ名づけられていない未来があることを告げる。

Episodes

本文を読む

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EP.01

第1話

第1話 ― 神話が検索された日

神狭駅の朝は、いつも少しだけ急いでいる。改札前の床を、革靴とローファーとスニーカーが絶え間なく叩いていた。会社員の黒い鞄が揺れ、制服姿の学生たちが改札機の前で列を作り、誰かのイヤホンから漏れた音楽が、発車ベルと駅員のアナ…

EP.02

第2話

第2話 ― 星綴高等学園七不思議

翌朝、神狭駅は何事もなかったように動いていた。通勤客が改札を抜け、学生たちが階段を上がり、駅員がホームの端で安全確認をしている。発車メロディはいつも通り軽やかで、電光掲示板には遅延情報もなく、地下連絡通路の入口には足元に…

EP.03

第3話

第3話 ― 神なき空に、日は昇る

白い廊下の光の中で、烏丸マシロは手を差し出していた。その手は、乱暴ではなかった。奪おうとしている手ではない。強制しようとしている手でもない。丁寧に差し出され、相手が自分から置くのを待っている手だった。だからこそ、ユウリは…

EP.04

第4話

第4話 ― 白環管理区域

天御柱神宮で偽日輪が祓われた翌日、神狭市には小さな雨が降っていた。傘を差すほどではない。けれど、空気の中に細かな水の粒が混じり、髪や制服の肩を少しずつ湿らせていくような雨だった。道路の白線はにじみ、アスファルトは薄く光っ…

EP.05

第5話

第5話 ― 消えた保護対象

翌朝、神狭市は何もなかった顔をしていた。駅前の大型ビジョンには、いつも通り化粧品の広告が流れている。昨日、一瞬だけ神話構文反応の警告を映した画面は、もう春でもない桜の花びらを散らしていた。通学路の人々も同じだった。傘を畳…

EP.06

第6話

第6話 ― 隠されたログ

第二図書準備室には、夕方の光が斜めに差し込んでいた。古いガラス窓は少し曇っていて、外の校庭をぼんやりと滲ませている。部活へ向かう生徒たちの声、ボールの跳ねる音、吹奏楽部の音出し、廊下を走る誰かの足音。それらは全部、いつも…

EP.07

第7話

第7話 ― 白紙カルテへの紹介

翌朝、星綴高等学園の廊下は、いつも通りに騒がしかった。昇降口では、上履きに履き替える生徒たちが列を作っている。廊下の奥からは、誰かが笑いながら走ってくる足音がした。教室の前では、昨日出た数学の課題について文句を言う声が重…

EP.08

第8話

第8話 ― カフェ《ノーネーム》の名なし客

放課後の神狭市は、昼と夜のあいだに置き忘れられたような色をしていた。 駅前の大型ビジョンには、いつものように新作ゲームの広告と、学習塾の合格実績と、駅ビルのセール告知が順番に流れている。通学鞄を肩にかけた高校生たちが、笑い声とスマホの通知音を混ぜながら改札へ吸い込まれていく。会社員らしき人々は、夕方のまだ浅い疲労を顔に…

EP.09

第9話

第9話 ― 星綴高等学園と空席の出席簿

翌朝の星綴高等学園は、いつも通りに騒がしかった。 昇降口には、雨も降っていないのに傘を振り回す男子がいて、下駄箱の前では誰かが提出期限のプリントを探して鞄をひっくり返している。廊下の窓は朝の光を受けて白く光り、吹奏楽部の朝練の音が、校舎のどこか遠い場所からかすかに流れていた。 笑い声。 上履きの音。 机を引く音。 スマ…

Characters

登場人物

キャラクター画像をクリックすると、イラストを拡大表示できます。

主人公

天瀬ユウリ

主人公/《AVIS》保持者/未確定名の観測者。神にも管理にも未来を預けない「余白の継承者」。

理触者

星宮ミオ

ユウリの同級生。神々を超える理に触れてしまった非AVIS型神話接続者。

相棒

アヴィ=シグル

スマホアプリ《AVIS》に宿る相棒。分類不能の神話構文ナビゲーター。

構文解放派

久遠レン

配信者・プログラマー。神話構文の解放を信じるユウリの友人。

人類管理機構

烏丸マシロ

神話構文管理機構《アーカイヴ・ノア》現場管理官。守るために管理する大人。

断絶派

玻璃川トウマ

断絶派の接続者。神話と現実を切り離そうとする同級生。

医師

白羽根イツキ

白紙カルテ診療所の医師。治療者であり、危うい観察者。

古書店主

紙魚原ツヅリ

古書店《紙魚の巣》の店主。紙媒体の記録と欠落に半分棲む人間。

観測者

エル=ネフリド

余白を見つめる観測者。

Locations

舞台・ロケーション

神狭市に点在する日常と神話の境界。ロケーション画像もクリックで拡大できます。

日常拠点

星綴高等学園

ユウリたちの日常拠点。最初に神話構文が侵食する学校。

境界駅

神狭駅・無番線ホーム

通勤・通学の駅であり、神話層への入口となる異常発生地点。

再臨拠点

天御柱神宮

神々の再臨派の中心神域。失われた理を現代へ降ろす柱。

都市伝説の温床

旧北口商店街

日常の寄り道と噂が混ざり、神話構文が芽吹く商店街。

余白の喫茶店

カフェ《ノーネーム》

エル=ネフリドが営む、名前を持たない者が集まる中立拠点。

紙の巣

古書店《紙魚の巣》

神話・都市伝説・民俗学・郷土資料が集まる古書店。

遊戯拠点

ゲームセンター《コンティニュー》

スコア、リトライ、ランキングから神話構文が発生する場所。

治療と観察

診療所《白紙カルテ診療所》

神々の力に触れた者を治療し、症例として観察する町医者。