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蒸都ヴァルテリアと偽装記録の探偵

霧と煤煙に沈む蒸気都市ヴェルム=クロウ。
偽装された記録の奥に眠る“真実”を、探偵と記録者見習いが追う。

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STORY

真実は、
記録の余白に潜む

西方大陸ヴァルテリア。
その中心にそびえる巨大産業都市、ヴェルム=クロウ。
煤煙と霧に包まれたこの街では、蒸気機関、高架鉄道、記録機械、契約文書が人々の暮らしを支配している。

霧燈通り十三番地、黒鴉館。
その二階に事務所を構える探偵レオン=クラウスは、助手であり記録者でもあるミラベル・ワトリアとともに、偽造された契約書、存在しない死亡記録、消えた神名、記録院の密室に隠された“偽装記録”を暴いていく。

これは、ミステリー専門の観測神格イル=ヴァスによって記録される、ローゼンサーガ西方大陸の探偵譚である。

CHARACTERS

煤霧都市を歩く者たち

レオン=クラウス

Detective / Human

レオン=クラウス Leon=Klaus

偽装記録の探偵/元・記録院調査官

改竄された記録、偽造された契約、神格構文の痕跡を読み解く異端の探偵

ヴェルム=クロウ旧市街に事務所を構える私立探偵。
かつてはヴァルテリア記録院に所属する調査官だったが、ある事件をきっかけに組織を追われた。

冷静で皮肉屋、依頼人にも愛想はよくない。
だが、偽装された記録の奥に隠された真実を見逃すことはない。

彼が見るのは、書かれた文字ではなく、書かれなかった空白。
契約書の滲み、台帳の欠番、証言の揺らぎ、消された神格名の痕跡。
そのすべてを読み解き、誰かが“なかったこと”にした事件を暴いていく。

魔術師ではない。
神の使徒でもない。
ただ、記録を疑うことのできる男である。

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ミラベル=ワトリア

Record Apprentice / Human

ミラベル=ワトリア Mirabel=Watria

記録記者見習い/レオンの助手

事件を読者に伝えるワトソン役であり、彼が見落とす人間の感情を拾い上げる

ヴェルム=クロウの小新聞社に所属する記者見習い。
はじめは「記録院を追われた変人探偵」を取材するため、レオン=クラウスの事務所を訪れる。

明るく人当たりがよいが、軽薄ではない。
事件を単なる謎としてではなく、誰かの人生が壊れた跡として見つめる。

レオンが契約書や台帳の矛盾を追うなら、ミラベルは証言にならなかった声を聞く。
嘘をつくしかなかった理由。
沈黙の奥にある痛み。
記録からこぼれ落ちた、小さな生活の痕跡。

探偵ではない。
けれど、彼女は真実を“消えない言葉”として残すことができる。
冷たい記録に、人の温度を取り戻す記録者である。

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グレアム警部

バルトラム=グレアム警部

歯車より現場を信じる警部。ドワーフ族の刑事。
頑固な現場主義者で、レオンとは衝突しながらも事件解決のために協力する。

ノクス=モリアン

ノクス=モリアン

元・法記録学教授。
法、記録、証言の仕組みに精通し、ひとつの事件を“どう記されるか”という視点から読み解く異端の知識人。紳士的な態度を崩さないが、その言葉にはどこか人を試すような響きがあり、レオンにとっても警戒すべき存在である。

ヴァネッサ=リード

ヴァネッサ=リード

エルフ族の月硝子の歌姫。上
流階級、仮面舞踏会、劇場事件に関わり、レオンの過去を揺らす特別な女性。

モルガ=ブラス

モルガ=ブラス

煤霧都市の歯車を回す女。
ブラス重工商会総帥。鉄道、記録機械、契約保管庫に深く関わる、敵とも味方とも言い切れない産業界の大物。

リュシアン=アスト

リュシアン=アスト

旧契約を読むエルフ族の古書店主/古文書鑑定人。
古い神話、旧契約、忘れられた神名に詳しいレオンの情報源。

マルタ=グレイン

マルタ=グレイン

黒鴉館の管理人兼大家で、喫茶室《煤鳩亭》の店主。
口は悪いが面倒見がよく、探偵たちの帰る場所を守る。

エドガー=クラウス

エドガー=クラウス

都市を座ったまま動かす男。
レオンの兄。中央記録庁上級顧問として、行政記録、外交記録、商会情報、警察報告を横断的に把握する。

エレノア=クラウス

エレノア=クラウス

逃げ出した記録令嬢。
レオンの妹。自由奔放で、変装・潜入・暗号・街歩きが得意な若い知性。

エル=ネフリド

車掌

ヴェルム=クロウの蒸気鉄道に現れる、謎めいたドワーフの車掌。
煤けた制服と静かな物腰が印象的で、乗客を目的地へ導きながら、事件の裏に潜む“記録の歪み”をほのめかす。
味方とも案内人とも言い切れない、不思議な存在。

WORLD

ヴェルム=クロウ【煤霧都市】

鉄道、記録機械、劇場、商会、警察、古い神話が重なり合う探偵都市。

01

クラウス探偵事務所

霧燈通り十三番地、黒鴉館の二階奥にある私立探偵事務所。
古い革椅子、都市地図、鉄道時刻表、事件記録の束が並ぶ部屋で、レオン=クラウスは依頼人の言葉よりも、靴の泥、手袋の煤、紙質、インクの匂いから真実を読み解く。
記録からこぼれた者たちが、最後に辿り着く灯りである。

02

蒸気鉄道

ヴァルテリア全土を血管のように都市を巡る、環状線、貨物線、地下線からなる巨大交通網。
汽笛、警笛、蒸気の白煙が絶えず街を揺らし、乗客名簿、切符記録、時刻表、貨物台帳のひとつひとつが事件の証拠にも罠にもなる。
ドワーフ産業力と近代都市の象徴であり、同時に密室と偽装記録を生む舞台でもある。

03

劇場街

オペラ座、仮面劇場、社交クラブ、上流階級の夜会場が集まる、ヴェルム=クロウの華やかな表の顔。
光と喝采に満ちた街区でありながら、その幕裏では密会、偽名、契約結婚、脅迫、舞台上の暗号が静かに渦巻いている。
ヴァネッサ=リードの影がもっとも美しく、もっとも危うく映える場所。

04

ヴェルム=クロウ警察

煤煙と霧に沈む蒸都の治安を守る捜査機関。
殺人、失踪、鉄道事故まで扱うが、記録院の台帳に存在しない者の事件には、しばしば手が届かない。
現場を押さえる警察と、記録の矛盾を暴く探偵――その境界で、グレアム警部は今日も重いブーツで街を歩く。

05

黒鴉館

霧燈通り十三番地に建つ、煤けた煉瓦造りの三階建ての館。
一階には喫茶室《煤鳩亭》、二階にはクラウス探偵事務所、三階には下宿部屋があり、新聞記者、書記、探偵、依頼人たちが交差する。
霧の夜、二階の窓に灯る明かりは、迷える者を真実へ導く目印となる。

06

煤夢館

地下街で最も名の知られた煙館。
表向きは安宿だが、地下には夢煤香の煙が満ちる広い煙室があり、工員、女優、没落貴族、記録院の下級書記までもが訪れる。
そこで見る幻は慰めか、神託か、それとも誰かに植えつけられた偽りの記憶なのか。

07

夜帳楼

紅霧横丁に佇む、赤い硝子窓の古い館。
登録娼館でありながら、その内側では偽名と偽造証文が静かに人の本名を覆い隠している。
古いエルフ歌曲が流れる夜、契約書に残るのは、彼女たちの本当の名ではなく、美しく作られた店の名だけである。

08

バルグレム蒸機鉱業商会

ヴァルテリア大陸全土に影響力を持つ、ドワーフ系巨大商会。
蒸気機関、鉱山、鉄道、金融、契約保証までを握り、都市の血流そのものを動かしている。
彼らの歯車が回るかぎり、街は栄え、同時に誰かの名も、労働も、事故も記録の奥へ押し込まれていく。

09

ヴァルテリア記録院

出生、婚姻、相続、商取引、刑罰、死亡――市民の存在を記録によって定義する巨大行政機関。
だがそこは単なる役所ではなく、記録を司る神エスラ=ノートの影響を色濃く宿す、契約と祈りの聖域でもある。
レオン=クラウスがかつて身を置き、そして離れた場所――真実を守る機関でありながら、真実を消すこともできる場所。

VISUAL TEASER

キービジュアル

蒸都ヴァルテリアの全景
Opening — 蒸都の全景
捜査中のレオンとミラベル
Investigation — 捜査の気配
劇場前のグレアム、ノクス、ヴァネッサ
Theatre — 劇場街の陰謀

Case Files

本文を読む

第一事件・第二事件・第三事件を節ごとに読むことができます。

蒸都ヴァルテリアと偽装記録の探偵 縦型表紙

Episode 01

第1話 署名なき死体

第1話 署名なき死体

煤煙と霧に沈む蒸都ヴェルム=クロウ。
高架下で発見された死体には、身元を示すはずの署名も、記録院に残る存在の痕跡もなかった。
探偵レオン=クラウスと記者ミラベル・ワトリアは、都市の台帳からこぼれ落ちた死者を追い、商会、警察、記録院の奥に隠された偽装記録へ踏み込んでいく。

Episode 02

第2話 存在しない七号車

第2話 存在しない七号車

六両編成で発った夜行急行《黒梟号》は、ヴェルム=クロウ中央駅に七両編成で到着した。
存在しないはずの七号車には、まだ温かい死体と、記録にない切符が残されていた。
レオンとミラベルは、時刻表、車両記録、乗客の証言に潜む矛盾を追い、走る密室の謎へ踏み込んでいく。

Episode 03

第3話 死者は第三幕を演じる

第3話 死者は第三幕を演じる

月硝子劇場で上演された第三幕。
五百人の観客が見守る舞台上で、俳優オズリック=ヘイルは本当に死亡した。
レオンとミラベルは、舞台装置と観客の記憶に隠された事件の真相を追う。