666
 煮え滾[タギ]る塊が蠢[ウゴ]いている。
 それはまるで蛆の集合体のようだった。
 丸い塊が紫色の触手を伸ばしながら、怪物は娘の身体を弄んでいた。
 着ていた衣服はすでに引き千切られてしまった。
 豊かな胸に朱鷺[トキ]色に乳首が立ち、くびれたウェストから脂の乗った尻を通り、太腿はさらに喰らいたくなるほど極上のラインを誇っている。
 秘部を露わにされながらも、娘はすでに抵抗する力を失っていた。むしろ、娘は快楽に酔いしれているのだ。
 怪物の掻く汗は人間にとって強力な媚薬となり、その香りを嗅ぎ、肌に練りこまれ、娘は何度も絶頂を迎えている。
 触手で膣を突かれる度に娘は声を荒げ、弛緩した身体の穴という穴から汗や汚物を吐き出した。
 娘の口からは滝のように涎が垂れ流され、喉がかすれるほどに乾いてしまった。それでも、喘ぎ声は高らかに木霊し、怪物に極上の奏でを披露する。
 淫らな宴は終わることなく続き、辺りを見回せば、違う怪物どもが女を犯していた。
 やがて声は完全に嗄れるが、それでも娘は喘ぎ続ける。
 幾本もある怪物の触手は、娘の豊かな乳房をこねくり回し、太腿に巻き付き触手の先端についた口で尻に噛み付く。女はその度に喘ぎ、絶頂に達するのだ。もはや怪物の魔力により、触れられただけで全身に電気が迸[ホトバシ]り、絶頂を迎えてしまう。
 膣内には1本では飽きたらず、2本、3本と膣口を広げながら進入してくる。それと同時にクリトリスを嬲られ、ついにはアヌスまで触手が進入してきた。
 滑りで不気味に輝く触手がアヌスを突き、そのまま腸内を犯していく。
 言い知れぬ快楽に酔いしれる娘の口から一本の触手が吐き出された。ついに触手はアヌスから侵入し、腸を通り口から吐き出されたのだ。
 触手の群れに隠された幾つもの瞳が一斉に見開かれた。
 その瞬間、触手の先から白濁した液体が吐き出され、娘の膣内に、身体中に掛けられ汚された。
 怪物は器用に触手を使い、吐き出した液を娘の身体に丹念に練りこむ。
 柔らかな胸が揺れ、娘の身体は断続的に振るえ、白目を剥いていた。
 触手の先に付いた口が開かれ、中に並ぶ鋸[ノコギリ]刃のような歯をガチガチと鳴らす。
 娘が戦慄[ワナナ]いた。
 幾つもある触手が娘の胸に、尻に、太腿に噛り付いたのだ。
 肉を喰われ、骨を剥き出しにされながらも、娘は快楽に沈み痛みなど感じなかった。
 ――もっと食べて。
 腹の肉を喰われ、血の滴る内臓を触手に喰われる光景を、娘は片時も眼を離さずに見つめていた。それはまるで愛に取り付かれた者の眼だった。
 やがて触手は娘の頬をかじり、眼球を呑み込んでしまった。暗闇に堕ちながらも、娘の意識は途絶えることなく、無いはずの身体に快楽を伝え続ける。
 溶けていく。フライパンの上で踊らされるバターのように、身も心も溶けていく。
 融合による新たな快楽。
 煮え滾るように蠢く触手の塊の奥で、新たな眼が生まれた。
 そして、深い闇が訪れる。
 心地よい温もりの中で、意識が溶かされた。

 おわり


■ サイトトップ > ノベルやっつけで書いた短編たち666 ▲ページトップ