揺れる爆乳!
音楽を聴きながら、学校の廊下を進む輝実(てるみ)は、スキップをしながら自慢の爆乳を揺らしていた。
イヤホンから漏れてくる曲は、エロゲーの主題歌。
輝実はきのう切ったばかりのショートヘアに触れる。
「ヒロ君気に入ってくれるかな」
幼いころからずっとロングヘア。腰よりも短くなったことはなかった。
こんな音楽だって最近聴きはじめたばかり。
きのうはついにキライだった納豆も食べられるようになった!
そう、すべては……。
瞳を丸くした輝実は廊下の角に隠れて、そ~っと先にいる男子生徒たちを覗き見た。
男子生徒の会話が聞こえてくる。
「俺は断然巨乳派」
「Dカップくらいがちょうどいいだろ」
「おれはFカップくらいがいいな」
そして、裕和(ひろかず)が口を開く。
「オレは絶対になにがあろうと貧乳派だ!」
それに同意する男子。
「そうだよな、ちっちゃいほうがいいよな。ほら、手に収まるくらいがちょうどいいっていうか」
が、それは同意にはならなかった。
「なに言ってんだ? 手に収まるって膨らみがあるってことじゃないか。オレの言ってるのは
AとかBとかじゃくて、ツルペタだ!!」
胸を張った裕和の声は中を響き渡った。
が~ん、ショック!
隠れてそれを聞いていた輝実はショックのあまり、廊下に両手両膝をついてしまった。
中学生になって、急成長をはじめた胸。最初は男子たちの視線が気になって、キライだった自分の胸。でもグラビアアイドルもマンガもアニメも、巨乳の女の子ばっかり。世の中の男子はみんな大きい胸が好きなんだ。
だから、これは神様が与えてくれた、唯一の長所!
そう信じて今までやって来た輝実だったのが……。
運命とは残酷である。
まさか恋い焦がれる裕和が超貧乳好きだったとは――。
「うわ~ん、神様のばかぁ!」
爆乳を揺らしながら輝実はその場から駆け出した。
そんな大きなリアクションをすれば、男子たちにも気づかれる。
「またテルミンいたぞ?」
と、顔を向けられた裕和は嫌そうな顔をした。
「だからなんだよ?」
「ありゃどう見てもお前にゾッコンだぜ? 付き合っちゃえよ?」
「タイプじゃねーよ」
少し顔を赤くして裕和はそっぽを向いた。
家に帰ってきてからも輝実はずっとベッドで泣いていた。
「ひっく……ひくっ……ヒロ君に嫌われちゃったよぉ。私のことキライなんだ、絶対にキライなんだ……うううっ」
トントン!
部屋をノックする音が聞こえた。
「輝実ーっ、いい加減に夕ご飯食べなさいよー!」
母の声。
「いらないって言ってるでしょ!」
泣きながら輝実は怒鳴った。
もうご飯なんてのどを通らない。
ご飯なんて食べたらまた胸が大きくなってしまう。
ドアの外から声が聞こえる。
「今夜は輝実の好きな唐揚げよ!」
鶏肉はバストアップに効果的とのウワサがある。
輝実は決意した。
「泣いてばっかりなんていられない。私はヒロ君の理想のお嫁さんになるって決めたんだから。そのためだったら、唐揚げなんてもう食べない。ダイエットするって決めたんだから!」
こうして、輝実の過酷なダイエットが幕を開けたのだった。
――1週間後。
頬がくぼむほどゲッソリとした表情の輝実。
目の下には隈ができ、髪の毛はなんだかパサパサで、爪も割れてしまっている。なんだか全体的に潤いがない。
「ふふふっ、私はこの一週間、ありとあらゆるダイエットに挑戦し、体重も10キロ以上落とした。これでヒロ君の理想に一歩近づいけたハズ!」
下着姿の輝実はブラを外してバストを露わにさせた。
そして、念願の計測!
メジャーでアンダーとトップを計る。
また計る。
またまた計る。
またまたまた計る。
そして、もう一度念のために計る。
「ぎゃ~~~~っ!」
輝実の声が家中に木霊した。
「どうした輝実!」
叫び声を聞きつけて兄貴が部屋に飛び込んできた。
「変態!」
輝実は片腕で胸を隠し、もう片手でメジャーを兄貴に投げつけた。
「ぐへっ!」
顔面に直撃を食らった兄貴はよろめいた。
そんな兄貴に追撃のボディブローを食らわして、輝実はドアを閉めてカギもかけた。
ドアの向う側から呻き声が聞こえるが気にしない。
ぶっちゃけ、今の輝実には兄貴が死のうとどうしようと構わなかった。
そんなことよりも、輝実がショックで死んでしまいそうだ。
「胸がぜんぜん減ってない。それどころか、アンダーが痩せてバストアップしてる!」
良い爆乳です。
揺れちゃう爆乳。
どんよりとした空気を背負いながら、廊下をゆらゆらと歩く輝実。
クラスメートの女の子がやってきて抱きついてきた。
「おはよーっ、テルミン!」
むぎゅ。
後ろから抱きついたクラスメートは、輝実の爆乳をモミモミした。
「あれっ、テルミンまた胸大きくなった? いいなあ、私貧乳だから分けて欲しいくらいだよ」
「ウキーッ! ウキウキーウッキーッ!」
突然、輝実が奇声を発して歯を剥いた。
人間としての理性を失ったようだ。
そこへ、たまたま通りかかった裕和。
輝実と裕和の目が合った。
目の下に隈を作りながら、ハッとして硬直する輝実。
次の瞬間、自らの胸をわしづかみにして、両手で激しい乳搾りをはじめた。
「キーッ! こんな胸、こんな胸、自分の手でもぎ取ってくれるわっ、うひひひひひっ!」
あまりの奇行を目の当たりにして、裕和は輝実の体を取り押さえようとした。
「おいっ、なにやってるんだよバカ!」
「ヒロ君のためなの! ヒロ君のために貧乳にならないといけないのーっ、そうしないとヒロ君に嫌われちゃうぅぅぅ~~~っ!」
いや、こんな姿を見られたら普通は嫌われる。自爆だ。
白目を剥いた輝実が気を失った。
倒れそうになった輝実を慌てて裕和が支えた。
いつの間にか騒ぎは大きくなり、周りには生徒たちが集まっていた。
保健室のベッドで目を覚ました輝実。
「……きゃっ、ヒロ君!?」
目を覚ましたら王子様!
慌てて輝実はシーツをかき寄せて顔の下半分を隠して体育座りをした。
「どうしてヒロ……水谷君がいるの?」
「いちおう保健委員だし。目の前で倒れられたら運ぶだろ、普通」
輝実は壁に掛かっている時計を見上げた。1時間目の授業中はもうはじまっている。
「水谷君、授業は?」
「サボった」
「ダメだよサボっちゃ、私ひとりでも平気だから。お願いだから……出てって」
最後の声は消え入りそうなほど小さかった。
まともに裕和の顔を見られない。できれば顔を合わせたくなかった。
倒れる前のことは少しだけ覚えている。それだけに、輝実はもう裕和に合わせる顔がなかった。あの場にいた生徒、ウワサを聞いた生徒、もうこの学校にもいられないかもしれない。みんなに合わせる顔もない。
「なあ、ひとつ聞いていいか?」
少し顔を赤くしながら裕和が尋ねてきた。
「な、なんですか!?」
「オレのために貧乳にならないといけないってなに?」
「…………。ぎゃ~っ! 忘れて、忘れてくださいお願いします。もう終わったことだから、だってだって……もう嫌われちゃったから!!」
ベッドに顔を埋めて輝実は鼻を啜りながら声を殺した。
ちなみにその体勢だと、ネコのポーズでパンツ丸見えだ。思いっきり裕和にお尻を突き出している体勢になっている。
「パンツ……見えてるぞ?」
「ぎゃ~っ、ごめんなさい! もう私ったら……っ!?」
慌てて立ち上がろうとした輝実の足がもつれた。
裕和の目の前に迫る爆乳。
ふにゅ!
顔が埋まった。
…………。
お互い顔を真っ赤にしたまま動かない。
そして、しばらくして胸の谷間からくぐもった声が聞こえてきた。
「く、苦しい……」
「ぎゃ~っ、ごめんなさい! もう死にたい、早くこの世界から消えてしまいたい!」
慌てて輝実は裕和から離れて、シールにくるまって顔をだけを出した。
輝実は目を伏せながら裕和のようすを伺った。そのとき、目に入ってきてしまったモノ。
勃起した裕和のモノ!
その視線に気づいた裕和は気まずそうに背を向けた。
「しょうがないだろ。言っとくけど、オレ別に巨乳がキライなわけじゃないからな。オレの好きな奴も巨乳だし」
「ほぇ?」
「相手が貧乳だからとか、巨乳だからで好きになるわけじゃないんだよ。髪型だってそうだ、別に変えることなかったんだよ」
「えっ、え、えっ!?」
「おまえの中身に惹かれて好きになったんだよ!」
「ええ~~~っ!?」
顔を太陽よりも真っ赤に燃やして、裏返った声をあげた輝実はベッドのベッドの間の仕切りごと倒れた。
保健室に響く豪快な音。
仕切りは倒れたが、輝実のその体はしっかりと裕和の腕の中に抱かれていた。
鼻と鼻がぶつかりそうな距離で目を合わせる二人。
輝実はゆっくりと瞳を閉じて、唇を少し上げた。
唇を奪う裕和。
「んっ!」
熱い吐息が輝実の鼻から漏れた。
ちゅぷ、ちゅぱ。
お互いの唇が重なり合って音を鳴らす。
くまっていたシーツが滑り落ちる。
裕和は輝実の腰に手を回して、そのままゆっくりと押し倒した。
上に乗る裕和の体に手を這わせた輝実は、そのまま硬いモノを優しく握った。
「だれか来ちゃうっ……よ?」
「保健の先生は出張。ドアのカギはさっき閉めといた」
「カギ閉めるなんて……んふっ……はじめから……あぅ……こんなことする気だったの?」
「バカ言うなよ。ただ…二人っきりの時間を邪魔されたくなかっただけだよ」
裕和の手が輝実の大きな膨らみを愉しんでいる。
貧乳好きの裕和が、輝実の爆乳を優しく弄んでいるのだ。
「あうっ……ヒロ君……生で触って欲しいの」
シャツのボタンを外した脱いだ輝実は、ブラのホックも外して、腕から肩紐を抜いた。
肉厚な胸が重力に引っ張られて、つき立ての餅の塊のようになっている。腋の方から左右に今にも溢れ落ちてしまいそうだ。
裕和は重厚な胸を持ち上げるようにして揉んだ。
「胸ってこんなに柔らかくて気持ちいいんだな」
「もっと触って、これしか取り柄ない……からぁぁぁン!」
「オレが好きになったのはお前の中身なんだよ。今じゃ全部好きだけどな!」
輝実の乳房が絞られて乳首が吸われた。
「ああっ!」
悶えながら輝実は裕和の股間を強く握った。
「ヒロ君の……も気持ちよくしてあげたいの……ああっ……」
「我慢できない!」
「いいよ、して……」
裕和がベルトを外している間に、輝実はショーツを脱ごうとした。
ショーツと股の間にきらめく橋がかかった。
閉じた肉唇を割って熱いモノが入ってこようとする。
「ヒロ君っ! えっ……いきなり!?」
「ごめん、我慢できない」
「いっ!」
「痛かったか?」
「大丈夫……そのまま……ずっと奥まで入ってきて」
眉尻を下げながら輝実は唇をきつく縛った。
いつも遠くで見ていた彼が、今はこんなにも近くにいる。
輝実は自分の頬を裕和の頬に重ねた。
「あったかい……ヒロ君」
「テルミン……輝実は心があったかいよ」
「やっ……恥ずかしいこと言わないで」
少し切なくかすれた声だった。
緊張がほぐれてきたところで、裕和は腰を深く埋めた。
静かに、ゆっくりと、ゆっくりと――。
瞳を潤ませた輝実が自らキスをした。
奥まで入った。
糸を引く唇を離して輝実は囁く。
「動いていいよ」
「痛かったら言えよ?」
「……うん」
小さく輝実はうなずいた。
腰が動かされると同時に輝実は眉尻を下げて、苦しそうな表情をした。
同時に裕和も苦しそうだった。
「すごい絡みついてきて……ちょっと動いただけでイキそうだ……」
「ヒロ君……私……すごくドキドキして……さっきまで痛かったのに……今は」
「イク」
「なにかが……来るのぉぉぉっ!」
ドグッ、ドプッドプッ……
激しい深呼吸。
裕和が輝実のショートヘアを撫でた。
「この髪型も好きだぜ」
「ヒロ君がそう言ってくれるなら……よかった」
「あのさ、順番がぐちゃぐちゃになったけど、オレと付き合ってくれるか?」
「うん、ずっと前から答えは決まってるよ!」
輝く笑顔を浮かべた輝実は肌を重ねながら裕和の首に抱きついた。
おしまい