○ンコを取り戻せ!
「ちんこがねぇーッ!!」

冷静になれオレ。
まあ、早朝のコーヒーブレイクでもしようじゃないか。

してる場合かーッ!

現状を把握しようじゃないか。
オレは今おっきな鏡の前に立っている。
素っ裸で。

これはチンコがないとかいう生やさしいものじゃないぞ。
だって、鏡に映ってんの女じゃん!

現実的に考えて、男だったオレが一晩で女に変身するハズがない。
ならば人の体に憑依しちゃったみたいな解釈でいいのだろうか?
どっちにしても非現実的だな。

昨日のことを思いだそう。
ナンパした女の子を飲みに連れて行って、そのままオレの部屋にお持ち帰りした。
その時点ではオレは確かに男だった。

つーか、あの女いねぇし!

2DKのボロアパート。
隠れられる場所なんてただかしれている。

ん?
どっかから物音がするぞ。

オレは勢いよく押し入れを開けた。

「ここかーっ!」
「キャーッ!」
「ギャーッ!」

驚きのあまりオレは人外の叫びをあげてしまった。
だって押し入れにジジイが入ってるんだもん。

長い白髭にハゲ頭のジジイ。
どう見ても妖怪だ。

妖怪は押し入れから這い出てきた。
うげっ、赤いフンドシだし!

「よくぞワシを見つけた」
「見つけたじゃねぇよ、不法侵入だろうが。ケーサツ呼ぶぞジジイ」
「ジジイではない。ワシは妖精じゃ」
「妖精のイメージ大暴落させてんじゃねぇよ!」
「ワシの名はエロ仙人」
「さっき妖精だって言っただろうが」
「エロ仙人とは100歳まで童貞だった者が辿り着けるエロの神髄にして境地」
「おいおい勝手に話進めんなよ。つーか童貞のクセにエロの境地じゃねぇだろ」
「ふぉふぉふぉ、知識だけは誰にも負けん」
「むっつりかッ!」

ヤバイ、オレとしたことが相手のペースだ。

「なんでもいいからオレの部屋から出てけ」
「つまりじゃ!」
「つまりじゃねぇよボケ老人。つーか、さっきから人のマ○コをガン見してんじゃねーよ」
「チンコを取り戻し、男に戻るためには……誰かとえっちするしかないのじゃ!」
「はっ?」

オレを置いてけぼりにしながら急展開。
もしかして、このジジイはオレに何が起きたか知ってる?

「オイ、ジジイ。なんでオレが女の体になったか教えろ」
「もちろん男と寝るんじゃぞ」
「はぁ~ッ!?」

――そんな展開が小1時間前にあった。
いろいろジジイに問いただしたかったが、煙になって消えるという大がかりなマジックで逃げやがった。
何から何まで非現実的で困る。

もしも女になったらやってみたいことを実行しているほどオレに余裕はない。
そこで仕方なくジジイの話を信じてはないがやってみることにした。
つまり……。

男と寝る!

想像しただけでバケツ3杯くらいの吐き気がする。
だが、ここで決断しなければオレのチンコは帰ってこないのだ!

つーわけで、オレは真っ昼間か逆ナンパという強硬手段に出た。
が、ヤル気満々の痴女じゃんかという自己嫌悪。
その後もいろいろなエピソードもあったが、大人の事情って奴で割愛しよう。

最終的には出会い系を活用することにした。
ケータイ端末からアクセスできる利点!
外出席で「今ここでヒマしてる」的なメッセージを書けば、バカな男どもが釣られてやってくる寸法だ!

だが、しかし!!
オレは思わぬトラブルに……というエピソードも大人の事情で割愛だ。

で、最終的にオレの前に現れたのは小太りのハゲ親父。
いやいや、休日なのにアンタ仕事は?
てゆか、年齢ウソ付いただろハゲ。

騙されたオレも悪いけどなっ!

しかも、強引にラブホに連れ込まれ、シャワーも心の準備もなしにベッドに投げられたし!

ありえん!
ハゲありえん!

嗚呼、豚だ。
ブヒブヒ呼吸をして襲いかかってくる白豚だ。
オレは今から豚に犯されるのだ。

殺るか?

ダメに決まってるだろオレ!
沸いてしまった殺意を婆さんのヌードを思い浮かべてゲンナリする。

そのままゲンナリしすぎて放心状態に陥ってると、服脱がされたし!
豚も脱いでるし!

「いやッ、やめて!」

泣き叫ぶ自分の声で萌えそうになった。

豚の芋虫のような指がオレの太腿を這う。
キモイ、キモすぎる!

「お願いだから、やっぱりオレ……じゃなくてアタシ帰ります!」
「怖がらなくていいよ、可愛い可愛いお人形さん」

そのセリフとしゃべりかた怖いし!
絶対に変質者だ!

オレは四つん這いになりながら、シーツを掻くように逃げようとした。
が、豚の手がオレの足首を掴んだ。

「逃げちゃダメだよ、むふふ」
「逃がして、アタシ処女なの……たぶん!」

豚の眼がキラーンと光ったような気がした。
しまった、今のセリフ逆効果だったかも。

豚が飛んだ。
飛ばない豚はただの豚でいいから、お前は飛ぶな!

何トンにも感じられる豚がオレの体に覆い被さってきた。
ラードが、豚の体から分泌されるラードが、オレの全身をネチョネチョにする。

キモッ!

豚が逃げようとするオレの腹を後ろから抱き込んだ。
そのまま頭が逆向きのパイルドライバーされると思ったら、

「ギィヤァァァァァァッ!」

オレはこれまでにない痛みで絶叫してしまった。
脳天じゃなくてオマ○コを杭打ちされたのだ。

痛すぎて意識が遠くに逝った。
腿を伝う生暖かい鮮血の感触で我に返る。

豚はオレと結合したままさらなる大技を繰り出した。

下半身をぶっ刺したままジャーマンスープレックス!

さらに弱ったオレに止めが刺された。

まんぐり返しでぐったりするオレの上で豚が回転したのだ。

ヘリ子豚ーッ!

挿入したまま、体をプロペラに見立てて回るというアクロバティックな技。
もはや人間業ではない。

オマ○コの中をチ○コドリルで抉るように掻き回され、死んだ方がマシな痛みで全身が痙攣する。

「あがっ死ぬ……じんじゃう……ギャァァァッ!」

無理にしゃべると舌を噛みそうだ。

目が回る。
豚が回る。
世界がぐわんぐわん回っている。

気が狂う。
いや、狂ってるのはこの豚だ。

散々回った挙げ句、
豚は背中を反らせて金のしゃちほこポーズ!

決めポーズか、決めポーズのつもりなのか?
お願いだからもう腹上死して精肉されてくれ、頼むから。

もういい、オレが死ぬ。
死んでやるからなーッ、止めてもムダだぞ!

……そんな余力残ってねぇーよ。
もうオレは力尽きたぜママン。

そんなオレに容赦ない糞豚。

オマ○コにチ○ポ突っ込まれたままジャイアントスイング!

そして、見事に投げられたし!
壁に激突したあと、床の上で2回3回オレの体が跳ねた。

あはは~、やっと抜いてもらえた。

逃げなきゃ、絶対に逃げなきゃ。
今すぐ逃げないと廃人にされてしまう。

いや……逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!
ここで逃げたらオレは犯られ損で、女のままだぞ?
いいのかオレ?

いや、いい!

オレは逃げることにしたが……体が動かん!

もうダメだ、オレはここで朽ち果てるんだ。
声を出す力すら残ってない。

霞む視界の向こうでは、豚に似合わぬ巨根をシコシコやっている姿が見える。
そのまま逝ってしまえ、滅びてしまえ豚野郎!

そして、豚はイッた。

ブヒヒヒヒヒヒッブヒュブヒッブハーッ!

消防車の放水並のザーメン発射。
超人ともいう量と濃さ。
ねっとりぐちゃぐちゃ身体中をけがしていく。

白濁の海にオレの意識が沈んでいく。
正直、死ぬんだと思った。

――そして、意識を失っていたらしいオレは目を覚ました。
ザーメンまみれの体は相変わらずだったが、オレの股間から生えているお帰りチンコ!

さらにベッドでいびきをかいている雌豚!
女になってもビジュアルが同じハゲ親父だ。
キモッ!

寝ていた雌豚が眼を覚ましてなぜかオレに襲いかかってきた。

「なんでこーなるのっ!」

てな、わけでその後、さらなる悲劇がオレを待っていたわけだが……。
大人の事情で割愛しよう。

ホント、マジで凄かったんだから!

 おわり


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