朝の通勤ラッシュ。
電車内はクーラーが効いているとはいえ、夏の熱気や汗の臭いがムンムンとしていた。
ミニスカートから伸びる太股に忍び寄る手。
凛はゾクゾクと体を震わせながらも声を押し殺して、目の前のドアに張り付くように身を任せた。
明らかな痴漢行為。
けれど……なにか違和感がある。
凛の太股を触る手が小さく、それでいて指は長く、まるで女性のように綺麗な手だった。
違う。
その手の持ち主は少女だった。しかも、痴漢をされている凛と同じ学生服。
痴女ともいうべきその少女は大胆に、凛のショーツをずり下げた。小振りが引き締まった尻が丸出しにされた。
凛は恥ずかしさで顔を紅潮させた。
こんな姿を晒しているところを誰かに気づかれたら……。
凛の耳元で痴女の少女が呟いた。
「凛ってば……もっと自然にしないと……」
名前を知っている。そう、凛もこの少女のことをよく知っていた。
さらに大胆になった痴女の少女は、凛を抱き込むように腰から手を回して、股間のモノを掴んだのだった。
ショーツからはみ出し、スカートを突き上げ、ビクビクと先端を振るわせるモノ。それは作り物ではない、まさしく男のモノだった。
痴女の少女は凛の彼女。
そして、凛は〝彼氏〟だった。
夏休み中の今、学校に行く学生は少数だ。
しかし、もしも同じ学校の生徒に出会ってしまったら?
凛は居ても立っていられず、胸がはち切れんばかりの思いをしていた。
女装をしているこんな姿を見られたら、学校にはいられなくなってしまう。同じ学校の生徒だけではない。こんな行為を誰かに見られたら、それだけで人生が終わってしまう。
女装をしながらペニスをビンビンにさせている変態野郎。
こんな状況でも萎縮するどこから、血管を浮き上がらせていきり勃ってしまう。
普段のセックスと比べものにならない興奮。
痴漢をされている。痴漢をしているのではない。
恐ろしい。とても恐ろしかった。
なのに……感じてしまう。
「ンっ」
思わず声が漏れてしまった。
周り聞こえただろうか?
きっと大丈夫、電車の音で気づかれていないはず。でも、心配は消えることなく、凛の胸を締め付ける。
彼女――悠希の手が勃起ペニスを激しくシゴキはじめた。容赦ない責めに凛は必死で耐えた。
そんなにされたら出てしまう。こんな場所で出すわけにはいかないのに。
イケナイことだと思えば思うほど興奮する。
悠希は片手でシゴキ続けながら、さらに残りの手を凛の尻に這わせ、そのまま谷間に指を埋め……。
「ひっ」
すぐに息を呑み込み、まるでしゃっくりのような叫びをあげてしまった。
悠希の中指は凛のすぼむ菊門を何度も押していた。
もう限界だったハズのペニスがさらに大きくなった。
指が少しずつ直腸に入ろうとしている。
凛は慌てて尻をまさぐる悠希の手首を掴んだ。
もうすでに一線を越える行為をしている。けれど、それだけは、それだけは……。
悠希は凛に体を強く密着させてきた。
胸が当たっているのがわかる。太股と太股が密着し、互いに汗でしっとりとしているのもわかってしまう。
そして、悠希の小さな息づかい。少し早い。その熱い息が凛の首筋に吹きかけられる。
先走り汁がスカートに染みをつくる。
出してしまいたい。本能のままここでしてしまいたい。
凛は強く目を瞑った。
ダメだ、こんな場所で……絶対にバレてしまう。
別のことを考えようと必死になるが、こんな状況でほかのことを考えられるはずがない。
しかし、このまま耐えられそうにもなかった。
それに電車が次の駅に着いてしまったら。
不安と背徳は快楽へと変わる。
ガタン!
車内が揺れ勃起ペニスがドアにぶつかり、さらに悠希の指が直腸に突き刺さった。
「うっ!」
ドピュ! ドピュピュピュ!
ついに果ててしまった。
白濁液がスカートの裏地を汚し、まだ堅く突き上げられているペニスを伝って、悠希の手にベットリと張り付いた。
車内アナウンスが聞こえた。
減速する電車。
目の前のドアが開くと同時に二人はホームに逃げ出した。
凛は鞄で股間を隠しながらとにかく逃げた。
すぐに女子トイレに駆け込み、不思議がられながらも二人そろって個室に飛び込んだ。
「はぁはぁ……」
二人そろって息を切らせた。
すっかり凛のモノも小さくなっていた。
涙目で凛は悠希を見つめた。
「バレてないよね?」
「バレたかも……アタシの手についた凛の精子……誰かのスーツにつけちゃったかも、あはっ」
「笑い事じゃないよ!」
「シー!」
悠希は唇の前で人差し指を立てた。
ここは女子トイレ。男の声が聞こえたら大変な騒ぎになってしまう。
凛はパニックで頭が回らなかったが、ハッとしてあることに気づいて、悠希の耳元でささやいた。
「着替えは?」
言われた悠希もハッとした。
着替えはちゃんと持ってきていた。
しかし、手元にはない。
そう、今頃は次の駅に着いてしまったなんてことも……。
「どうすんだよ」
震えた声。小声ながらも凛の怒りは十分に伝わってきた。
「どうするって言われても……」
着替えはちゃんと用意してスポーツバッグに入れてきた。ただ、棚に置き忘れてきてしまった。
「女装して電車に乗るだけって言ったのに……」
凛は壁に寄りかかり顔を伏せてしまった。
はじめはそんな約束だった。悪のりした悠希が痴漢までしてきたのだ。
悠希は凛の顔を覗き込み、軽いキスをした。
「ごめんね」
そう言いながらトイレットペーパーを取り、しゃがみ込んで凛のスカートの裏地についた汚れを拭きはじめた。
慌ててショーツをはいたせいで、至る所に白濁液が付いてしまっている。
ショーツにも染みが……これはまた少し違う染みだ。
萎縮しきったペニスの先から出た残り汁。それが染みをつくってしまったのだった。
悠希はショーツをゴシゴシと拭いた。中が刺激され、ムクムクとまた勃ってしまった。
「えっちぃ~」
小悪魔の笑みでからかう悠希。
凛は少しムッとした。
「ワザとやっただろ?」
「ナニが?」
「…………」
凛は答えなかった。思惑通りに体が反応した自分が恥ずかしかったからだ。
ワザと悠希は勃つように強く股間を刺激したのだ。
小さなショーツから勃起した亀頭が顔を覗かせている。先端からは白く濁った汁が滲んでいた。
悠希はショーツの中から勃起ペニスを取り出し、マイクのように口元に近づけた。
「せっかくだからここでもしよっ?」
小悪魔の笑み。
上目遣いのその笑みに僕が逆らえるハズがなかった……。
おわり