倒錯のヴァージン
少しムンとする暑さを孕む部屋。
ベッドの上で服を着たまま体を絡ませる影二つ。

上に乗っているのは運動をやっていそうな体つきの男。
男と呼ぶにはまだ幼さが顔に残り、少年か、青年と呼ぶ方が正しいかもしれない。

もう一人はセーラー服を着ていた。
小柄で華奢な印象を受けるが、痩せ形というわけでもない。
頬のあたりがぷっくりとしており、スカートから伸びる太腿も女性らしい丸みを帯びていた。

そして、この部屋にはもう一人、息を潜め隠れている者がいた。

クローゼットの中で、扉の隙間越しに兄たちの淫行を覗く妹。
妹は熱い息を殺しながら、自らの股ぐらをまさぐっていた。
すでにパンティは膝まで下ろされ、太腿に伝わるほど溢れる愛液。
耳を澄ませばクチュクチュと淫猥な音が聞える。

しかし、ベッドの二人は妹の存在などまったくと言って気づいていない。
二人だけの世界で、淫らな背徳に耽っているのだ。

青年の手がスカートの中へ伸ばされようとしていた。
床に丸まって落ちているパンティ。
スカートの中はすでに何も穿いてない。
その先にあるのは……?

スカートを中から何かが突き上げている。

まさか!?

「あぅっ」

股間のモノを握られ、セーラー服の――美少年が声を漏らした。
長い睫の虚ろげな瞳で、美少年は目の前の青年に抱かれていたのだ。

スカートが捲り上げられると、皮を被ったまま勃起した短小が羞恥に晒された。

青年の手によって包皮が剥かれた。

「ひっ」

可愛らしい悲鳴をあげ、見た目はセーラー服の美少女と見間違うほど。
だが、股間で起立しているモノは男のそれ以外の何物でもない。

包皮を剥かれた先端は鮮やかな桃色。
水飴のような粘液が尿道から滲み出て玉になっていた。

青年のねちっこい接吻を拒むことなく、舌を絡ませる美少年の姿。
男だとわかっていても、妖しくも淫らで胸を高鳴らせるものだった。

美少年の肉根を弄ぶゴツゴツした手。
その手に似合わず繊細な動きで、裏筋や茎をなぞる。
そして、袋を揉んでいたかと思うと、指の腹で窄まった菊門を押した。

「やっ……ン」

美少年は拒むように躰をくねらせるが、強い力によって押さえつけられてしまう。

意地悪く笑う青年。

「本当にやめていいのか?」

少し威圧的で脅すような口調だ。

美少年は潤んだ瞳で首を横に振った。

「いや……もっとして」
「もっとってどんなだ? こうか?」

青年の手が激しく美少年の肉根をしごきはじめた。

「そんな……だめ……激しすぎてイっちゃう!」
「ならやめるか?」

しごいていた手が急に止まった。

「やめないでぇ」

そうだ、選択の余地などないのだ。
醜悪な悪魔の顔で青年はさらに激しくしごき立てた。

美少年の口から絶え絶えの息を漏れる。

「あふっ、イっちゃう……イク!」

腰を跳ね上がらせながら、はち切れんばかりの肉根が白い液を噴きだした。
ねっとりとしたエキスは青年の手のひらに受け止められた。

溢れそうになりながら手のひらに乗っている白濁液が、美少年の眼前に突きつけられた。
牡の臭いが鼻を突く。

自らの出したものとはいえ――いや、自らのものだからこそ、美少年は顔を背けた。
青年は少しムッとした表情を浮かべた。

「なんだよ、お前が出したんだろ。ちゃんとキレイにしろよな、ほらっ!」

臭い立つ白濁液の乗った手が強引に口元に突きつけられる。
飲め、舐めろと強要しているのだ。

嫌よ嫌よと首を振る美少年。
だが、白濁液を口に塗りたくられると、卑猥な音を立てながら貪り付いた。

すべて舐め取り、喉を鳴らして呑み込む美少年のようすを見て、青年は満足そうに笑った。

「旨かったか? 次はもっと旨い俺のやつを呑ませてやるよ」

おもむろに青年はズボンのシッパーを下げ、勃起して血管の浮いた男根を取り出した。

「舐めろ」

命令されるまま美少年は雄々しい男根に唇を近づける。
そのまま先端に接吻して、短く伸ばした舌先でちろちろと舐めはじめた。

まだ不慣れでぎこちない。
そんな舐め方が青年を興奮させた。

美少年の頭をわし掴み、無理やり奥まで呑み込ませようとした。

「もっと深く咥えろよ」
「うぐっ」

涙目になる美少年。
口の中を支配されながら、さらに頭を動かされ無理矢理しゃぶらされる。

強制的な行為に見えながらも、美少年の下半身は熱く肉根を勃たせている。
女装した美少年は征服されることで、恍惚としながら快楽を得ていた。

「出すぞ?」

口に咥えたまま返事などできない。
そもそも返事など求めておらず、もし拒まれても出すことには変わりない。

膨張した男根が爆発した。

ドビュッ、ビュッビュッ!

口腔に満たされる牡のエキス。

ガタッ!!

突然の物音がどこからか聞えた。
驚いた青年は急いで男根を抜いて、凍り付いた顔で辺りを見回した。

「何か音したよな?」

青年は同意を求めたが、美少年はぐったりとした表情で首を横に振った。

その時、部屋がノックされた。
再び凍り付く青年。
今度は美少年もビクッとして目を丸くした。

ノックは断続的に続いた。
そして、しばらくすると諦めたのか、微かに人が遠ざかる足音が聞えた。

苦々しい顔で胸をなで下ろす青年。

「マジで焦った」

そういう青年の男根はすっかり萎縮していた。

もうそんな気分ではない青年は男根をしまうと、美少年に背を向けた。

「俺帰るわ」
「えっ、何で!?」
「うっせーな。じゃあな」
「待っ……」

止める間もなく青年はそそくさと部屋を出て行ってしまった。

残された美少年は放心したままベッドの上でへたり込んだ。

そこで再び物音が!

聞き間違いはずがない。
その音がしたクローゼットが開き、中から妹が出てきたのだから。

驚きのあまり美少年は眼を丸くしたまま身動き一つできなかった。
妹は下半身に何も身につけておらず、無毛の秘所からは大量の愛液が流れ出ていた。

「お兄ちゃん、あたしの制服着て何してたの?」

すべてを見ていながら、あえて質問をする悪戯な妹。

口ごもって何も言えない美少年の兄に妹はゆっくりと近づいた。

「今日がはじめてじゃないんでしょう? 普段はもっとすごいことしてるんでしょ?」

妹はベッドに上がると、兄の目の前でオナニーをはじめた。

固く閉ざされた割れ目に沈む少女の指先。
淫らな音と糸を引きながら、妹は甘い吐息を鼻から漏らす。

「ンッ……ンふっ……」

目の前にいるのは義理の妹。
血の繋がりはなく、今は十分に性欲の対象に見えてしまった。
セーラー服の美少年は男根が痛いほど勃起させた。

それを見た妹が無邪気に微笑む。

「ちゃんと女の子にも反応するんだ。よかった、お兄ちゃんがまだ男で」

妹は男根を掴み、自らの割れ目に導こうとした。
あまりの出来事に兄は抵抗すらも忘れ、されるがままだった。

「お兄ちゃん童貞でしょ? あたしが奪ってあげる……でもその代わり、もう絶対あんな男としちゃダメだからね」

すでに十分すぎるほど濡れている蕾に、男根がぬぷっと呑み込まれた。

はじめて味わう感覚に兄は躰を小さく振るわせた。

男根が優しく包まれる感触。
手で握るのとは柔らかさが違う。
吸い付き蠢く膣壁に男根が溶かされてしまいそうだった。

妹が小さく腰を動かすだけで、もうイッてしまう。

ドピュッ!

恐ろしい罪悪感に襲われる兄の躰を優しく抱きしめる妹。

「もう絶対に放さないんだから」

奪われたのは初めてだけではなかった。

おわり


■ サイトトップ > ノベル投稿短編倒錯のヴァージン ▲ページトップ