第1章006_01
 屋上のドアを開けた瞬間、振り返った桜井と目が合ってしまった。
 ……ちょっと不意打ちで心の準備ができてなかった。
 目が合ったのはいいけど、言葉が口から出ない。
 しばらく二人は相手の顔を見合わせてるだけだった。
 そして、桜井が口を開く。
【明日香】「……何しに来たの?」
【渉】「桜井に会いに」
【明日香】「……っそ」
 桜井は俺に背を向けてフェンス越しに空を眺めた。
 俺は桜井の横に行こうとしたけど、なぜか足がすくんで前にいけない。
 まるで、桜井と俺との間に壁があるようだ。
 でも、俺は勇気を振り絞ってその壁をぶっ壊した。
 そして、桜井のすぐ横に立って、俺も空を眺めながら話をはじめた。
【渉】「……なんか久しぶりだな」
【明日香】「そだね」
 桜井は俺の顔を見ようとしなかった。
 でも、この場を立ち去ろうともしない。
【渉】「俺やっぱ桜井のことが好きなんだよ」
【明日香】「……ふ〜ん」
 桜井の態度は俺を茶化しているようだった。
【渉】「俺がなんか焦ってたんだよな。最近やっと桜井のことがわかってきた。とにかく桜井のこと信じて気長に付き合ってればいいんだよな」
【明日香】「話はそれだけ?」
 鋭い目つきで桜井が俺の顔を見据えた。
 攻略失敗!?
【明日香】「あたしたちは、もう終わったの!」
【渉】「なにが終わったんだよ、はじまってもないだろ!」
【明日香】「あたしの中じゃ終わったの」
【渉】「じゃあ最初からはじめる」
【明日香】「……しつこい男って嫌われるよ」
【渉】「桜井だけに嫌われなきゃいいよ」
【明日香】「……ばか」
 そう小さく呟いた桜井は俺を置いて歩き去ろうとした。
 でも、もう放さない、放したくない。
 俺は桜井の腕をぎゅっと掴んで自分に引き寄せた。


1.渡したい物がある。――※006_3へ

2.そのまま桜井の身体を抱き寄せてキスする。――※006_4へ


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