紡がれる因縁 第7章《因縁》
 因縁を辿る力
 因縁を紡ぐ力
 しかし何故彼らはここに集められた?
 それが因縁

 第7章 因縁

 始まりは過去に遡る――。400年以上も昔、ゼロとメフィストはある研究所にいた。その二人の間に割って入って来た男がゼオスであった。彼はその研究所で事件を起こし、その際に姿をくらまし、ゼロまでも姿をくらまし、その後を追うようにメフィストまでもが姿をくらました。
 そして、ゼロはいつしか伝説ハンターとして名を世界に轟かす存在となっていた。ゼロは当時ハーディックと呼ばれる男と一緒に仕事をしていた。そして、ゼロはハーディックと共にゼメキス伯爵の屋敷に乗り込み仕事をこなしたことがあった。そのハーディックの息子がジェイクである。そのジェイクは今回、彼の父親であるハーディックと同じ以来を受けることとなった。
 クィン――彼はメフィストの息子であった。彼の父であるメフィストはゼロとゼオスと、ある因縁で繋がっている。しかし、今のところ役立たずのクィンが大魔王とまで呼ばれた妖魔貴族の息子だったとは……。
 ゼロの紅い目はゼオスをしっかりと見据えて放さない。
「ゼオス、何故キサマが?」
「僕は偶然を操る姫を頂きに来ただけだよ。彼女は無意識の内に偶然を操り、因縁を持つ者を引き合わせる能力を持つ。じつにおもしろい能力だろ? その能力を上手く使えばきっと世界をこの手に……だからゼメキス伯爵、君は彼女の記憶を封じて能力までも封じたのだろ?」
「そうだ、偶然を操る能力などあってはならん能力だ」
姿を消していた薔薇姫が突如風と共に姿を忽然と現した。
「そうです、私の能力を悪用されると大変な事になるでしょう。だからと言ってもう記憶消されるのも嫌です。どなたか私を殺してください」
ゼオスは冷ややかな言葉を返した。
「それはできない、だろ?」
「その通りです。私は死ねない、偶然が私を死なせてくれない」
そう言った直後薔薇姫は短刀を取り出し自分の腹に突き刺そうとした――のだが、建物全体が大きく揺れた。地震だ、地震が起きたのだ。そして薔薇姫はバランスを崩した拍子に床に倒れ、短刀を手放してしまった。
 床に落ちた短刀をゼオスは拾い上げ薔薇姫に投げつけた。がしかし、やはり短刀は薔薇姫に刺さることはなかった。短刀は薔薇姫にしていたペンダントに偶然に当たり床に落ちた。
「おもしろい体質だね。だからこそ僕は君を必要としているのだけれど」
ゼオスは薔薇姫に近づきその手を取った。
「さあ、僕と行こう」
「嫌です」
この言葉を合図に真っ先にゼロが剣を構え、ゼメキスは槍を構え、ジェイクも続いて剣を構えた。クィンはというと、物蔭に隠れて応援の準備をしていた。
 ゼオスの手が薔薇姫の口元に当てられ瞬間、薔薇姫は深い眠りに落ちた。薔薇姫を眠らせた彼の身体に異変が起きた。瞳の色が黒瞳から紅へ、そして背中からは漆黒の翼が――。
「くくく、いくらでも相手になるよ掛かっておいで」
「遠慮なく行くぜっ!!」
真っ先にゼオスに刃を向けたのはジェイクであった。
 切っ先で床を擦りながら翔け、剣を下から上へと振り上げる。剣は確実にゼオスを捕らえていた、がしかし剣は相手を切り裂くことはなかった。
「たかが人間が僕に刃を向けるなんて、身の程知らずとはこういう時に使う言葉なんだね」
剣はゼオスの手に握られていた。
「こんなナマクラな剣じゃ僕の皮膚一枚たりとも切れないよ」
剣を握った手からは血一滴たりとも零れはしない、それどころかゼオスは剣を強く握り締め粉々に砕いてしまった。
「!!」
次の瞬間ジェイクは羽ばたき突風を起こしたゼオスの翼に成す術もなく吹き飛ばされた。
 間を空けず左右上空からゼロとゼメキス伯爵が武器を構えゼオスに襲い掛かる。
 ――双方から繰り出された攻撃を両手で受け止めた。ゼオスは軽々と相手の武器を掴み、そのまま腕を回転させ二人を武器ごと放り投げた。
 片手片膝を床に付け着地した二人は同時に地面を蹴り再びゼオスに立ち向かった。しかしゼオスの力は壮絶絶対であった。
 ゼオスの身体が音も無く地面を滑るように移動したかと思うと、残像が発生し瞬時のうちに二人を仕留めた。床に腹から叩きつけられた二人は武器を手放してしまい、すぐさま武器を拾おうとしたが見つからない。
「探し物はこれかい?」
長い刃を持つ剣と装飾美しい槍はゼオスの手に握られていた。
 ゼロの紅い瞳、そして蒼から紅へと変わったゼメキス伯爵の瞳がゼオスを無言で睨みつける。妖魔貴族の瞳の色が変化し紅に変わるのは感情が高ぶっている証拠である。しかし半妖であるゼロの瞳は元から紅かった。
 ゼオスの紅い瞳とゼロの紅い瞳が互いを見つめ合う。
「ゼロ、君の目はあの時からずっと紅いままなのかい?」
「…………」
ゼロは何も答えなかった。代わりに彼はこれで答えた。
 紅いマントを激しく揺らしながら拳に力を入れたゼロがゼオスに飛び掛る。がしかしゼオスの前では無意味な行為と言えた。
 ゼオスの身体は残像を起こし揺らめくように移動し、ゼロの身体に何発ものパンチを繰り出した。後方に大きくゼロの身体は床に倒れ動かなくなった。
 ゼメキス伯爵、そして物蔭に隠れるジェイクとクィンの表情は明らかに曇っている。武器を失ったジェイクはクィンと共に陰ながら応援をしていたのだ。
「ゼロさんがやられるなんて、ジェイクどうにかしてくださいよ!」
「俺にどうにかできるわけねぇだろ。武器も壊されちまったし、おまえがどうにかしろよ」
うつむくクィン――そして彼は顔を上げスマイルを浮かべた。
「仕方ありませんね、どうにかします。けど、どうにかした後の処理は任せましたからね」
腕にはめられた瑠璃色のブレスレッドを握り締めながらゼオスの前に歩いて行くクィン。彼は何をする気なのか?
「僕がお相手いたします」
クィンはブレスレッドに魔力を注入し砕いた。
「僕はこの血が嫌いで嫌いでたまらない、だからこの血には頼りたくなかった……」
クィンの髪の毛がやわらかな風に巻き上げられ、彼の全身は優しく暖かなオーラに包まれた。そして彼の瞳は漆黒の黒から、血のような紅へと変わった。
「僕も半妖です。でも人間との半妖ではありませんよ、もっと高貴な者の血が僕には流れています」
妖魔貴族である父を持つクィンが妖魔の血を引いていることは当然だった。しかもその血は大魔王と呼ばれた男の血と人間よりも高貴な存在の血であるという。
 余裕のスマイルを浮かべるクィンの顔つきは先程とは別人のようであった。彼は絶対の自信を持っている。
 この時初めてゼオスはこの戦いにおいて恐怖した。彼を恐怖させた者はこれで二人目だった。
「親子揃って僕にこんな屈辱を与えるなんて……くくく、ゾクゾクするね」
そうゼオスに初めて恐怖という感情を抱かせたのはクィンの父であるメフィストだった。
「ゾクゾクするだって? その程度で済むと思っているのか? 凍りつかせてアゲルよ」
いつもの笑みとは違う笑みを浮かべるクィンの手から閃光が放たれた。それはレーザービームのように真っ直ぐと伸び、ゼオスの肩を貫き左腕を丸々吹き飛ばした。レーザービームは容赦なくゼオスに発射される。右腕を吹き飛ばし、左右の足を吹き飛ばしゼオスの身体は胴体を残すのみとなった。
 ゼメキス伯爵は戦慄を覚えた。役立たずだったクィンは今、大貴族ヴィリジィア伯爵に戦慄を覚えさせたのだ。
 だが攻撃を受けた当の本人――ゼオスはなんとも言えぬ至福の笑みを浮かべているではないか!?
「くくく、メフィスト息子たるすばらしい力だ。いや、メフィスト以上かもしれない……まさに神をも恐れぬ力だ。けれど僕も神など恐れてはいない」
触手が伸びた。ゼオスの体の各部を吹き飛ばされた傷口から幾本もの触手が蠢きながら伸びたのだ。
 触手はそれ自体が意志を持っているように動き、獲物を見つけた。
 静かに眠る眠り姫に魔の手が襲い掛かる。触手は足に巻きつき、腕に巻きつき、身体を締め上げる。触手はついに薔薇姫の体全体を覆い隠した。
 ゼメキス伯爵が走る。薔薇姫を救おうと床に転がるゼメキスの腕から槍を取ろうとした瞬間、突如腕から生えた触手がゼメキス伯爵の腕に巻きつき放さない。ゼメキスは触手を鷲掴みにしてむしり取ろうとするが触手は驚異的な早さで再生し、やがて伯爵の身体を覆い尽くした。
 伯爵を取り込んでしまった触手は奇怪な動きをして本体と融合された。本体は触手を何メートルも伸ばし巨大な怪物へと生まれ変わった。
 胴体と顔を残して全てを触手で構成された全長6mの怪物の身体は常に波打つように蠢いている。
 ゼオスは声を発した。しかし、その声はもはや口からは発せられているのではない、身体全体から発せられていた。
「くくく、どうだい、すばらしい身体だろ? 僕は昔生命科学研究所の研究員をしていた事があってね、これはその研究の成果。僕はもともと妖魔貴族と翼人とのハーフだったんだけど、それだけじゃ僕は物足りなかった。だから手始めにメフィストのDNAを取り込み、その後もいろいろな生物を取り込んでいった。つまり僕と君とゼロは同じ者の力を持つ兄弟のようなもの」
「……ふっ。だからどうした? 戦いは最後まで生きてた奴が勝ち、違うかい?」
紅蓮の炎が突如宙に現れ怪物目掛けて激突した。
「ぎぎゃーーーっ!!」
幾本もの触手をのたうちながら燃え上がる怪物。――しかし、炎はすぐに消えてしまい怪物は黒焦げになり煙を上げている。その黒焦げになった身体の皮膚には干上がった水辺のようにおびただしいひび割れが生じた。それが剥がれ落ちるや中から新たな皮膚が現れ、触手はまた動き始めた。
「くくく、全身を炎で焼かれたのはこれで2度目だ。けど僕の皮膚は特別せいでね、炎は熱いが焼かれることはない」
「ならこれならどうだっ!!」
怪物の頭上で叫び声が上がった。ジェイクだ、怪物の頭上にいたのは槍を怪物目掛けて降下するジェイクだった。
 槍はゼオスの胸に突き刺さった。突き刺さっただけではない妖魔の核を突き刺したのだ。妖魔には死という概念は無い、核さえ残っていれば長い年月はかかるだろうが再生は可能だ。だがその核を破壊されるとどうなるか? 妖魔には『死』ではなく『消滅』がある。肉体は跡形も無く消滅し、精神すら残らない、無に還るのだ。妖魔はそれを恐れる。
 槍を突き刺したジェイクは手を離し怪物の身体を蹴って後ろに飛び退く、そこに空かさずクィンの雷系魔法が放たれた。
 放たれた雷光は避雷針の代わりをした槍を通して怪物の核を直接攻撃する。
 怪物の身体が大きく震えた。――止まった。怪物の動きが止まった。
「終わったのか?」
ジェイクの呟きと共に怪物の身体は砂のように崩れ落ちた。
「……!!」
崩れ落ちた砂の中から現れたのは漆黒の翼を持つ一糸纏わぬゼオスが立っているではないか!? しかし、なぜ核を破壊された筈のゼオスが生きているのか?
「くくく、残念ハズレ、僕の核は一つじゃない。そしてさっきのはサナギだ。僕は完全にゼメキス伯爵と薔薇姫を取り込んだ」
「ならば、核を全て壊すのみだ」
この場にいた全ての者がその声を発した者――視線が刃丈の長い剣を持つその男に注がれた。紅き死神――ゼロの瞳は氷のように蒼く冷たかった。
「くくく、ようやくお目覚めかい、ゼロ?」
ゼロを呼ばれた男は口の端を上げ答えた。
「否、ゼロに在らず。私はカインだ」
ゼロの身体と顔を持つ男は自分のことをカインだと名乗った。しかし、カインと名乗った男はゼロ以外の何者でもない、果たしてどういうことなのか?
「どーゆーことだよ意味わかんねぇよ」
「僕に聞かれても」
二人の若者は互いに顔を見合わせ、ゼロを見て反応がないと知りゼオスを見た。
「おもいろい、くく、これがメフィストの実験の成果か……あと君の身体の中には何人貴族がいる?」
「返答する必要性が皆無だ」
疾風のごとく翔けるカインの剣が煌き空気を断ち切り、空間すら切った。
 ゼオスの額から冷たい汗が流れた。彼は紙一重でカインの剣を避けたのだ。しかし、避けた筈の剣はゼオスの胸を切り裂き、一筋の紅い線を付けていた。
「君の攻撃はゼロの2倍……いや2.5倍、スピードもゼロ以上だ。けど僕には勝てない、なぜだかわかるかい?」
……この問いに答えるものはいなかった。
「僕は薔薇姫を取り込みその力を得た。そして彼女すら操れなかったモノを今や操る事ができる」
ゼオスの手は宙に伸び見えない”何か”を取った。
「君たちには見えないだろうが僕は今、時間の一部、もっとわかりやすく言うと歴史の一部を取った」
「……アカシック・レコード」
クィンが小さく何かに怯えるように呟いた。彼は人間――いや、全ての生物が触れてはいけないモノを目の当たりにしてしまったのだ。
 宇宙の記憶と呼ばれることのあるアカシック・レコードとは、この世界、全宇宙のありとあらゆる出来事、思想、知識、個人の感情までをも過去と現在、そして未来にまでも記憶してある媒体であるという。その記憶を読み取ることのできる者は数が限られ、読み取るといってもその膨大な記憶のほんのわずかしか読み取れなかったという。
 ゼオスはアカシック・レコードを読み取れるひとりとなったのだ。
「この記憶にはこれからここで起こる事が書いてある。くくく、けど君たちには秘密だよ。今の僕は記憶を読み取る事しかできないけど、いつかアカシック・レコードを書き換える能力を身に付けてみせる。だから今日は退散するよ、でもおみやげは置いて行くよ、くはははは」
鋭く研ぎ澄まされた切っ先が胸に刺さる刹那、ゼオスの身体はその場から消滅し、ゼロの一刀は空を突いた。果たしてゼオスの置きみやげとはいったい何なのか!?
 ゼオスが消えてすぐクィンは頭痛と吐き気に襲われ膝を付いた。彼の顔が見る見るうちに狂気の形相を浮かべ、歪んでいった。まさか、これがゼオスの残していったものなのか? 
「……申し訳ありません……妖魔の力が……暴走し始めたみたい……です」
足が振るえ、手が振るえ、身体全体が局地地震に襲われたようにガタガタと震え出す。これは尋常ではない。
 長剣の切っ先がクィンに向けられた。
「二つに血のうち、妖魔の血の方が濃いようだな」
剣を構えるカイン。彼はクィンと戦う気であった。
「やめろゼロ!! 何する気だよ!!」
「否、私はゼロではないカインだ」
「はぁ! 今はそんなっこたいいだろ、とにかく剣をしまえよ!」
「それは向こうに言うがいい」
巨大な氷の刃が幾本も蒼き瞳のカインに向かって牙を向けた。
 氷が音も無く木っ端微塵に粒子に空気中を漂う霧となった。カインの剣技の成せる技だった。彼は氷の刃をただ剣で軽く撫でただけであった。それで氷を霧へと変えたのだ。
 霧の中を移動する二つの影。二つの影が激突するや激風が巻き起こり霧を掻き散らし晴らした。そこにいたのは言うまでもない、カインとクィンである。
 カインの長剣とクィンの作り出した魔力を結晶化して作った魔剣が互いの刃を交じ合わせ力と力の押し合いをする。どちらも一瞬たりとも力を抜くことはない。
 二人の戦いをジェイクは指をくわえて見ていることしかできなかった。二人の間に割った入ったところで邪魔になり、最悪の場合は殺されるのオチだろう。
 もどかしさでいっぱいになる。悔しくて、悔しくてたまらない、今の自分に何ができるというのか?
 がそんなジェイクの名をカインが叫んだ!
「ジェイク、キサマがどうにかしろ!」
「!?」
いきなりどうにかしろと言われても、今自分はそのことで悩んでいたのだ。そんな自分に何ができる?
「ジェイク早くしろ!」
カインの口調は先程より早くなっている。彼は焦っていた。カインはクィンに押されているのだ。
「俺に何しろってんだ!」
「それでもハーディックの息子か! ハーディックは精霊の加護を受けていた。キサマにもその力がある筈だ」
「そんな力ねぇよ!!」
二人が会話をしている最中にもカインの身体は足を床に滑らせながら後ろに後退している。
「私が見たところ、この男には妖魔と精霊の血が流れている。キサマの精霊の力をこいつに注入してやれば……」
「ちくしょー、わけわかんねぇーよ!!」
ジェイクはクィンの胸へ飛び込んだ。突然の突進にクィンは押し倒されジェイクが上に乗った。
 ――がジェイクはクィンの服の襟首を掴んだまま何をしていいのかわからない。
「何をしている、早くしろ!!」
クィンの顔は狂気の形相を浮かべ、鋭く伸びだ悪魔のような爪でジェイクを切り裂こうとしたその時、ジェイクは大声で叫んだ。
「わかんねぇよ!!」
奇跡は起きた。ジェイクの身体は金色[コンジキ]に輝くオーラを発し、彼の背中から水あめのように伸びた光は女性の形を象り宙で止まったかと思うと、クィンの身体に一気に流れ込むように吸い込まれていった。
 苦痛に歪むクィンはジェイクを5mも跳ね飛ばした。
 己の身体を抱きしめ床を転げ回るクィンの顔はおぞましいまでに歪み苦しそうであった。そして、やがて動きを止めた。
「もしかして死んじゃったのか!?」
「安心しろ、息をして……」
バタン! 後ろを振り返るとカインは床に倒れていた。
「だいじょぶかゼロ!?」
ゼロに駆け寄り息を確かめると、息はある。脈も正常だ。
「……まいった、どうすっかこれから?」
ジェイクはゼロとクィンを担ぐと二人を引きずりながら屋敷の外へと出た。
 屋敷を出たジェイクは屋敷を一望した。屋敷は初めて見たときよりも何百年も歳を取ったように見えた。
 二人を抱え前を向き歩き出すジェイク。彼は決して後ろを振り返らない。
「……あのパンチョになんて説明すっか?」

 紡がれる因縁 完


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