カキ氷
妾は莫迦だ。
まだ頭が覚醒しきっていらしく、ある重大な事実を忘れていた。
我が城にはワインセラーがあったのだ。
そこで妾はワインを使ってカキ氷を食すことにした。
だが、地下のワインセラーに行った妾は絶望した。
室温調整機が故障していたらしく、ワインが全て凍っていたのだ。
凍っているだけならば溶かせばよい。
だが、水分は凍ると膨張する。ビンが全て割れていた。
マジありえん……ふふっ。
しかし、妾はあることを思い出したのだ。
たしか料理室にもワインが保存してあったハズ。
妾は心を躍らせ料理室に向かった。
そして、ついに念願のワインを見つけたのだ。
さっそく妾はカキ氷を作り、ワインをかけて食した。
……不味い。
ワインはワインで飲んだほうが美味だと知った。
しばらくの間はワインを飲んで咽喉を潤そう。
……肉が食いたい。
美味い物が食べたい
妾はある重大な事実に気付いた。
――食料がない。
保存してあった食料はすべて賞味期限が切れている。
誤算だった。
眠りにつく前に気付きそうなものだが、まったく考えていなかった。
食物などなくとも、水だけで妾は生きることができる。
だが、そういう問題ではないのだ。
美味い物が食べたい。
たとえ水だけで生きられるとしても、妾は美味い物が食べたいのだ！
買出しに行きたいが躰が本調子ではない。
美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい、美味い物が食べたい。
おはよう
寝込みを襲われた。マジありえん。
そもそも今何年だ？
あいつの名前は何だったか、そもそも名前を聞き忘れたか？
駄目だ、まだ頭が働かん。
茶でも飲もうと思ったが、食料品はすべて賞味期限が切れている。当たり前だ。
半永久エネルギー炉は稼動しているらしく、城は妾が眠りについた時から変わっていない。
否、いなかった。
城はあいつを殺そうとした時にぶっ壊してしまった。寝室が無事だったのがせめてもの救いだ。
まずは城の普及からせねばならんな。
城が元通りに戻ったあとはどうするか？
再び眠りに就くか？
しかし、妾のマナは大量に流れ出し、多くをあの男に持っていかれてしまった。
再び眠りについても完全体にはならぬだろう。
やはり、あの男からマナを返して貰うしかないのか……帰すんじゃなかった。
それに眠ることにも飽きた。
妾が眠っている間に世界はどのように変わったのだろうか？
少し躰が回復したら、世俗見物でもするか……ふふっ。
