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最終話_Forever |
――数日後。 とある病室を訪れていた和清。 「ただの盲腸なんて、あんなに心配して損したっていうか」 少しやつれた優輝は殺し屋の目つきで睨んできた。 「はァ? わたしがどれだけ辛い思いしたかわかってんの。医者と言う名の変態に下腹部を陵辱され、1日目はあろうことか大部屋に入院させられ、変態オヤジたちに視姦されたのよ。この屈辱的な思いがカズ君にわかる?」 「すみません。でも本当に心配したんです……センパイが死んじゃうんじゃないかって」 「盲腸だって悪くしたら死ぬんだから、ばか」 優輝はそっぽを向いてしまった。 病気は盲腸だった。そうなると、あの話はどうなったのだろうか? 「あの……優輝センパイ?」 聞きづらそうに和清の声はだんだんと小さくなった。 「…………」 優輝はそっぽを向いたまま、まだ機嫌が悪そうにしている。 「センパイ……海外には本当に、行っちゃうんですか?」 「……行くよ」 小さな声で返ってきた。 涙がじわっと溢れそうになり、和清は目元を押さえて俯いた。 卒業は寂しい。 でも、会えないわけじゃないと思っていた。 海外に行くからって、もう一生会えにわけじゃない。 しかし、物理的な距離は、ときとして気持ちの障害よりも大きく、恋人たちを引き裂くことがある。 静かに優輝は顔を戻して、和清の顔をしばらく見つめたあと、急に笑い出した。 「うっそー。海外なんて行かないよ」 「……え、え?」 「だから行かないって行ってるの」 「ウソだったんですか!」 「べつにウソってわけじゃないケド、なかったことになったの」 嬉しさと戸惑いを隠せない和清に優輝はつまんなそうな顔で話しはじめる。 「イタリア人のママの彼が、急に家業を継ぐとかなんとかで国に帰ることになったんだケド、ママってすっごい熱しやすいひとでさー、私もお店やめてあなたと行くわーってなって。でも結局、その彼がお酒飲んだ勢いで自殺しちゃったんだって」 「……そ、そうなんだ」 なんだかものすごくブラックな話を聞いた気がする。 「でも、わたしはじめから行く気なかったし。ママをひとりにするのは心配だケド、わたしは一人暮しで大学通ってもよかったし。ちょっとカズ君のことからかっただけだよ」 「僕って優輝センパイに愛されてるんですか?」 「……は、はァ~~~っ?」 顔を真っ赤にしてそっぽを向いた優輝は枕を和清に投げつけた。 「ぶへ」 顔面で枕を受け止めた和清は、久しぶりに優輝の匂いを嗅いだ。 ムクムクっと和清の股間がこんもりと盛り上がってきた。横目で優輝はそれをチラッと見た。 「軟禁されてるせいでストレスが堪っちゃって……カズ君ちょっとこっち」 手招きをする優輝に顔を近づけた瞬間、頭を抱きしめられてキスをされた。 少し和清が舌を伸しただけで、まるでバキュームのように柔らかい唇が吸いついてきた。 じゅぶ……じゅぶぶ…ンン! まるで精気を吸い尽くすように、和清の舌や頬裏の唾液が優輝の舌で舐められ、卑猥な音を立てて飲み尽くされる。 じゅじゅじゅ…… 「ン……あ……ンあ」 鼻先から甘い喘ぎを醸しながら、優輝は和清の頭を抱きしめながら、髪の毛をぐしゃぐしゃに乱暴に扱った。 薄目を開けた和清が見た優輝の表情は、うっとり頬を赤らめながら瞳を閉じて、何度も舌を伸しながら求めてくる姿。 こんなにも求められていることが嬉しくて、和清は胸が高鳴り優輝を激しくベッドに押し倒してしまった。 「うっ!」 少し苦しそうな声を漏らした優輝。 「大丈夫?」 「なんでもない」 手術の傷口に触ったのだろうか? 眉尻を下げて心配な表情をする和清に、優輝はツンとした表情で答える。 「そんな顔されると冷める」 「あっ、ごめん」 「謝られるともっと冷める。たまにはわたしのこと滅茶苦茶に襲ったりできないの?」 「だって……」 「いじくじなし」 自分の上に乗っていた和清の身体を投げるようにして、今度は優輝が上に覆い被さった。 騎乗位のような体勢になり、優輝は服の上から和清の胸部を両手で撫で回す。その手はだんだんと鎖骨へ、首へと侵略していき、頬に触れ、人差し指で唇の輪郭をなぞると、顔と顔が少しずつ近づいた。 息を呑む和清。 少し濡れた小さなつぼみのような優輝の唇が開いた瞬間――和清の視界は閉ざされ息がつまった。 「んぐ!」 「あははっ、ばーか。キスすると思った?」 無邪気な笑い声。 優輝はいつの間にか隠し持っていた枕を和清の顔面に押しつけたのだ。 「んぐっ、んぐぐ」 「ふかふかで気持ちいいでしょ。でもやっぱり枕よりおっぱいのほうがいい?」 「ふぐ?」 「私のママとヤッたでしょ?」 「んぐ!?」 もちろん和清はだれにも言ってない。 舌打ちが聞こえた。 「うわ、マジでヤッたんだ。カマかけたら、そんなわかりやすい反応するなんて……」 「んぐぐ!」 枕で顔面を押さえられながら和清は必死に身悶えた。 瞳を閉じながら優輝は溜息を漏らした。 「サイテー。わたしよりママのほうがいいわけ?」 「んごーッ!」 押しつけられていた枕をぶんどって窓の外に投げ飛ばした。 「違うよ、僕は優輝センパイのことが好きなんだ!」 「どこが好きなの?」 「……え?」 斜め下を見ながら和清は口が止まってしまった。 「どこが好きなの?」 同じ質問が繰り返された。 「全部だよ!」 「なにそれ」 「だって全部が好きなんだから仕方ないじゃないか!」 「カズ君は私のなにを見てるの?」 困った顔をしながら和清は優輝の顔を見つめ、視線を下げて下腹部のあたりに目をやった。 哀しそうな瞳を優輝は和清から逸らした。 「わたしの取り柄は顔と身体しかないんだ……それだけしか求められてないなら、わたしたちもう……」 「それだけじゃないけど、僕だって男のなんだから好きな人の身体を滅茶苦茶に犯してやりたいって思うこともあって、だからえっちなところに目がいっちゃうわけで……口じゃうまく説明できないけど、とにかくセンパイの全部が好きで……」 「口で説明できないなら身体で証明してみたら? わたしのこと無理矢理犯してみるとか」 挑戦的な口調だった。 でも勇気のない和清は黙っているだけで、だんだんと優輝はいらついてきた。 「たまにはリードして欲しいときだってあるんだから! いつも弱いだけのカズ君じゃイヤなの…だって……だって、わたしだって弱ってるときあるんだから、カズ君なんかもうキラぃ――ンっ!?」 唇を奪われた優輝は騎乗位から後ろに押し倒されベッドに背中を弾ませた。 乱暴なキスで唇が犯されている。瞳を丸くした優輝は服の中に手が這入ってきたのを感じた。熱い手がおなかに触れている。だんだんと下腹部に潜ってきて、ショーツの中に指先の侵入を許してしまった。 なぜかわからないけれど、優輝は身体が硬直してしまって、まるで拘束されたようにされるがままだった。 「ぅン!」 小さく喘ぎながら優輝は背中を仰け反らせた。 耳元で和清の囁きが聞こえる。 「もう硬くなってるよ」 「やっ」 顔を真っ赤にした優輝は目をギュッとつぶった。ぴっちりとしたショーツの中に、強引に手が這入ってきて、大切なところをまさぐられてしまっている。狭い場所で窮屈そうに、ちょっぴり不器用な手つきで、優しく愛撫してくれている。 じゅぱ……じゅぱ……と音を立てていた唇がゆっくりと離れていく。 荒い息づかいを聞きながら、優輝はゆっくりと瞳を開けた。 懸命な顔をしてこちらを見つめている和清の瞳。 優輝は自らショーツに手をかけて、静かに太腿をくぐらせていった。内腿が汗ばんでいた。ショーツはクシュクシュになりながら、片方の足首を抜けて太腿にぶら下がった。もう片足も抜こうとしたが、それは叶わなかった。 「あふっ」 息を呑みながら優輝は自分の両肩を抱きしめた。 お尻の割れ目と、それが生えている付け根のあたりから、和清の指が這い上がってくる。 優輝の腹筋が何度も弾むように震えた。 「あっ……あう……ああっ!」 裏筋が触られたとき、思わずベッドに腕を叩きつけてシーツを握り締めた。 また和清が囁いてくる。 「濡れてるよ」 「……ぅン!」 生理現象なのだから仕方ない。なのに優輝は小さな罪悪感を覚え、まるで自分がイケナイ子のように感じ、胸が苦しくなって身悶えたかった。 ピクッ、ビクン! 下半身が跳ねてしまう。抵抗しているのに身体が感じてしまって、それがどうしようもなく恥ずかしくて、優輝は握った両手で目元を隠した。 和清に身体を預けてしまっている。 でも、なぜか不安で、身体は少し強ばって抵抗している。 「センパイ恥ずかしいの?」 言われて身体の熱が急激に上がった。 恥ずかしいという気持ちが抵抗になっていると気付いてしまった。 何度も何度も和清とはえっちしてきた。 なのに今日はとっても恥ずかしくて、強がって見せることもできない。 下腹部を触られる手とはべつに、服の中に這入って胸に近づく手があった。 「そこは……だめ……やっ」 優輝は小さく身体を左右に揺らしていやがったが、汗ばんだ熱い手は胸に覆い被さってきた。 「センパイの胸かわいいですね」 「もぉ……やだってば……あぅっン!」 胸の鼓動が高鳴る。 優輝はひとに身体を触られるのがキライだった。唇と下腹部は許しても、それ以外の場所は触られるのも見られるのもイヤだった。 今触られている胸だって、コンプレックスなのに、心に近い部分をまさぐられてしまっている。 「やっ、やめ……ああっ……あふ」 円を描きながら乳輪に触れる指先が、たまに乳首にまで当たって、微電流が胸から背中を走って抜けていく。 「ああっ」 「センパイ気持ちいいですか?」 答えなんてわかってる。 そんなこと口にできないと思いながら優輝は唇を噛みしめた。でもすぐに開いてしまう。 「やっ、ああっ、乳首だめなの……あんまりされると」 「あんまりされちゃうとどうなるんですか?」 「だから……ああっ、もぅ」 今日の和清は言葉でまで責めてくる。 イタズラな和清に優輝は自分を見ているようだった。 これは優輝の模倣だ。それを和清が意識しているのかはわからない。 和清の中に自分がいるということを感じ取った優輝は、嬉しさを感じながらも恥ずかしさも高まった。 ――どこが好きなの? そんなことを聞きたかったんじゃない。 「カズくぅ……ンっ……ずっと、いっしょに……いてね?」 瞳を潤ませながら、優輝は和清の首に両手を回した。 「いつまでもいっしょにいます!」 「ウソついたら死んでね」 「死んでもいっしょにいます」 「…………がと」 すぐに消えてしまう声で優輝はなにかをつぶやいた。 ふたりはどちらからでもなく唇を重ねた。 決して離れない。 舌と舌を絡ませながら、身体も重ね合わせた。 静かにズボンを脱いだ和清は硬くなった肉棒を優輝の太腿に擦りつけた。 いつもよりも大きくなっている。 「僕センパイのことだけが好きなんです。だから、アキちゃんとかセンパイのママに襲われても、出さないって決めて出してないんです」 ガチガチになった肉棒は暴発寸前。ガマン汁が優輝の太腿を舐めたように濡らす。 内腿に当たる亀頭がだんだんと股の間に近づいているのを優輝は感じていた。 和清のしたいことはわかってる。 下腹部を触っていた和清の手をつかんで優輝は導いた。尻の谷間を滑り落ち、そのくぼみまで――。 「ひゃっ!」 悲鳴をあげてすぐに優輝は顔を背けた。 どこよりも触られてたくない場所を触られている。 なにもかも失ってしまいそうな不安。 和清の指先は優しかった。 指の腹に弱い力を入れて何度も入り口を押してくる。そのたびに優輝は身体を強ばらせて、お尻に力が入ってしまう。呼吸が止まり、再び呼吸をすると全身から力が抜けて喘ぎ声が出てしまう。 「ん……あっ」 身体が浮くような感覚の中で頭がぼうっとしてしまい、和清の頭が股間にあるのに気付いたときは遅かった。 「ひゃあああっ!」 甲高い声を上げながら目が丸くなった。 ぴちゃ……ぴちゃ…… 唾液と皮膚が奏でる淫音がお尻の辺りから聞こえてきて、優輝はパニックになりながら太腿を閉じた。それが和清の頭を挟んでしまうことになり、密接に繋がってしまった。 「そんなところ……汚いよぉ……ひっ……舐めちゃだめだってば」 しわのひとつひとつに唾液が練り込まれていく。 「ああっ!」 顎を突き出し上向きながら優輝は両手でシーツを握った。 こそばゆくて脚に鳥肌が立ち、内腿に和清の髪の毛が触れると、背中までざわめきが走った。 たっぷりの唾液で濡らし終わった和清は再び優輝と顔を合わせる位置にきた。 「いいですか?」 自らの肉棒を握り締め、亀頭の先端を優輝の尻の割れ目に沿って埋めていった。 「あっ……」 小さく優輝が喘いだ。 唾液で濡らされヒクヒク鳴いているピンク色の入り口に、もう爆発しそうな太くて逞しい肉棒の先端が当たった。 我慢のできない欲望の塊は、すでに先っぽで強く入り口を押し開けようとしている。 真っ赤な頬をした優輝は腕で目元を隠した。 「やさしく……して、ね?」 か弱く可憐なその声を聞いた和清は我慢できなかった。 きつく閉ざされ、まだ男のモノを受け入れたことのないその場所へ、硬く滾った欲望が捻じ込まれる。 「痛いっ……いっ」 ギチギチ…… 狭い入り口が強引に開けられ、細く紅い筋が内腿を伝った。 「大好きですセンパイ!」 叫びながら和清は一気に腰で叩くようにして突き入れようとする。 「痛い……痛いって言ってんだろ!」 目を血走らせた優輝の雄叫び。 急に和清の腰が浮いたと思ったら、下から強烈な一撃が突き上げてきた。 「あああああああああああーーーッ!」 絶叫をあげた和清の腹が内臓から持ち上がった。 頭の先まで貫かれたように硬直する和清。 狂気に満ちた眼で笑う優輝。 「カズくぅ~ん、覚悟はできてるよね?」 「ああっ、僕がなにを……動いちゃ……ひっ……ひいいいいいっ!」 優輝は問答無用で腰を突き上げて暴れ馬と化した。 ケツマンコの中がぐちゃぐちゃに掻き回される。 「ひぐっ……ひぐ」 騎乗位で下から突き上げられる和清は、すでに暴発寸前だった肉棒を両手で押さえた。 「イッちゃいます……あっ、あっ……ひぐ……ひぐぅぅぅぅぅぅぅっ!」 ぶしゃあああああああああっ! 噴水のように噴きだした白濁液が悪魔の笑みを浮かべる優輝の口元にかかった。 ぺろり。 艶めかしく白濁液を舐め取った優輝は殴りつけるように腰で和清のケツを叩いた。 「カズ君はわたしの肉便器なんだからね……あっ、あああン!」 じゅぶぶぶぶぶどぅるどぅるどぅるどるるるるる! 下品な音を立てながら白濁液が直腸に流れ込んでいく。 「僕のケツマンコにいっぱい注いでください……ああっ、またイクゥ!」 今度は前立腺が刺激されて、お尻でイッてしまった。 息を切らせる和清の顎からどっぷりと涎れが垂れて、優輝の白いおなかに落ちた。 じゅぶ……ぐぽっ…… ねばり気を含んだ白濁液が音を立てながら漏れてくる。 パンパンに膨れ上がった和清のおなか。 ケツマンコから優輝のモノが抜かれると、一気に噴き出しそうになり和清は慌ててケツの穴を閉めた。 放心状態の和清はベッドに倒れ込んだ。 しかし、休憩など与えられなかった。 「なに勝手に休んでるの? 入院生活でまだまだ溜まってるんだケド?」 和清の鼻先で芳しい臭いを放ちながら、馬がいななくように首を振っている優輝のモノ。 「もう勘弁してください……おなかがいっぱいで漏れちゃいます」 「だったら出せばいいでしょ?」 細く綺麗な優輝の指が和清の尻の谷間に滑り込んできた。 ぐちゃぐちゃに濡れたケツマンコはきつく締まっていたが、細い指は強引に中へ這入ってきた。それも2本、中指と人差し指。 「ひいいっ!」 直腸に侵入した指は中でチョキに開かれた。 ビジャー! 勢いよくケツマンコから白濁液をお漏らししてしまった。 優輝は手のひらにぶっかけられた白濁液を和清の顔面に押しつけた。 「ほら、綺麗にして」 白濁液を顔面に塗りたくられて眼が開けられない。 鼻を突く臭い。 口の中にえぐみのある塩っ気が広がった。 なにも見えない中で、和清は肉棒が握られたのを感じた。まだまだ硬いままだった肉棒は、柔らかい肌に触れたようで、優しく深い部分に埋まっていくようだった。 やがて、亀頭の先が弾力のある場所に当たった。 「うっ!」 小さく呻いた優輝の声。 和清はなにも見えなかった。顔面は優輝の手のひらを押しつけられ、そこでなにが起きているのかは、感じることしかできなかった。 とてもキツい入り口で、締め付けは徐々に肉棒の付け根へと移動していく。 入り口ははち切れんばかりの、まるでゴムで縛られたようなキツさだったが、中は肉棒全体を包み込んで圧迫してくるようなキツさがあった。 蠢いているようだった。波打ちようにして蠢いて、肉棒を押し出そうとする力が働いている。 「ン……ンンっ」 押し殺した優輝の喘ぎ声。 それを聞いて和清の肉棒はさらに膨れ上がった。 やがて優輝はゆっくりと腰を動かしはじめた。 長閑な草原を馬が闊歩するように、ゆったりとしたペースで腰を上下する。 「ン……あっ……ううっ……く……はぁ」 優輝の声から懸命さが伝わってくる。 ひとつに繋がっている。 目隠しをされたまま和清は両手を伸して優輝の腰に手を添えた。細い腰は優輝の深く静かな呼吸に合わせて揺れている。和清はその呼吸に自分の呼吸も合わせた。 奥まで這入った肉棒は、入り口では押し出されそうだったのに、今は逆に吸いつかれ呑み込まれる。 優しく静かな快感は身体だけでなく心も満たしてくれた。 「カズ君……好きだよ」 顔を押さえられている和清は答えさせてもらえなかった。でも、言葉にしなくても伝わっている。優輝の中で思いを反映するように熱くなっている肉棒。 上下する腰が少しずつ軽快にリズムを刻みはじめた。 ふたりはさらに呼吸を合わせてひとつになる。 「あっ……ン……ンは……カズ君……きて」 声を押し殺しながら喘ぐ優輝に答えて、和清のほうからもリズムに合いの手を入れるように腰を突き上げる。 「あっ、ああっ、あああン……大好きだよ……カズ君」 背中を反らせながら優輝は身体を硬直させた。 優輝の腰を掴んでいた和清の手に力がこもった。 ドク、ドク、ドク…… ぐったりと優輝は静かな動作で崩れるようにして和清に覆い被さった。 顔から手を離された和清は目元を拭って薄目を開けた。 肉棒は優輝の内股に挟まれているだけ。あの温もりはどこかに消えていた。 耳元で優輝の静かな息づかいを感じた和清は、振り返ってキスをしようたのだが――。 「ふがっ!」 急に起き上がった優輝の頭突きを鼻に食らって撃沈した。 それを尻目に優輝はベッドから降りて、腹を抱えながらゆっくりと歩き出した。その顔は真っ青だ。 「なんかおなか痛い……。カズ君、わたしが帰ってくるまでに掃除しといて、そしたら帰っていいから」 帰っていい? おそらくニュアンス的に「帰れ」だろう。 「僕って優輝センパイにとってなんなんですか?」 病室を出て行こうとしていた優輝がめんどくさそうな顔で振り返った。 「肉便器」 がーん。 それから一生懸命掃除を終えた和清は、ご主人様に言われたとおり何事もなかったように帰ることにした。 病室をあとにしてドアを閉めると、すぐ真横にニヤニヤ顔の望実が立っていた。 「もういいの?」 「ひっ、望実様!」 中でヤッてた事後処理をしてたの絶対バレてる。 血相を変えて和清はダッシュで逃げ出した。 「病院は走っちゃだめよぉ」 少年の背中を見送った望実は病室に入った。 窓から遠い空を眺めていると、優輝が病室に戻ってきた。 「下腹部の具合はどう?」 「あ、ママ。なんか別の意味でサイテー」 「うふふ、そう」 望実はベッドの近くにあったイスに腰掛けた。その表情はなぜか重かった。 なんで母親がこんな顔をするのか優輝は知っていた。 独り言のように望実は溜息混じりの声を出す。 「あっちは1年も保たないだろうって」 「ふ~ん」 そっけない返事だったが、どこかわざとらしかった。 急に真剣な眼差しで望実は詰め寄った。 「本当にいいの? 後悔しない?」 「わたしには関係ないもん。わたしのママはママだけ。1度も会ったことのないひとのことなんて知らない」 優輝は望実と目を合わせなかった。 頭を抱えた望実はゆっくりと立ち上がった。 「……わかったわ。私はあなたが退院したらすぐ日本を発つから、マンションは解約しないでそのままにしておくから自由に使いなさい。あのひとを看取ったあと、しばらくしたら日本に帰ってくるから」 「わたしのことなんて待たないで早く行きなよ。わたしはひとりでも平気だよ」 「なに言ってるの、あなたはひとりじゃないでしょう。でも……あのひとは」 背を向けた望実が病室をあとにしようとしている。 優輝は身を乗り出した。 「ねェ、わたしが産まれたのってなんかの過ち?」 望実は背を向けたまま足を止めた。 さらに優輝は投げかける。 「今でもあのひとのこと好きなの?」 望実は肩を震わせた。そして、しばらくして笑い出した。 「あははは、過ちのはずないでしょう」 振り向いた望実は満面の笑みだった。 「だってあのひと超絶イケメンだったんだから。あなたはあたしたちの愛の結晶。ひとを好きになるのに性別なんて関係ないのよ」 また背を向けた母が目元を拭っているのを優輝は見た。 「さぁーって、今日も渡航費用と娘の学費、ここの入院費とか、バリバリ稼ぐぞー!」 そう言いながら望実は病室をあとにした。 「……ママ」 つぶやいた瞬間に、またドアが開いて望実が顔を覗かせた。 「そうだっ、あなたの顔は母親似だから」 「えっ?」 突然の告白に言葉を失う娘に、望実は勝手に話を続ける。 「前にさぁ、ケータイの待ち受け覗かれたとき、これだれってあなたに聞かれたことあったでしょう? とっさにウチの店で働いてる子って言ったけど、あれウソだから」 「どういうこと!?」 「日本に残る裏切り者には教えてあげなぁ~い。じゃあね、バイバーイ親不孝者っ!」 今度は笑顔で望実は病室を出て行った。 「あんな親を持ったわたしのほうが……そうでもないか」 窓の外の遠い空をぼんやりと眺める。 あの空の向こうに……。 今年の卒業式は、まだ少し肌寒さを残していた。 閑散とする3年生の教室。 黒板に残された卒業生のメッセージ。 これからしばらく学校は寂しくなるだろう。 演劇部は前日に3年生を送り出す会をやっていたので、部室にはふたりしかいなかった。 「カズ君のわたしと同じ大学来れるか心配だけど、楽しみに待ってるから」 「もうここで優輝センパイに会うこともなくなっちゃうんですね」 「OBとして来るよ、普通に。あ、それから春休みの予定は全部空けといて。わたしといっしょに海外の――」 「ちょ~っと待ったぁぁぁぁぁっ!」 騒がしい乱入者が教室に飛び込んできた。 アキは和清と優輝の間に割って入って、怒濤の勢いで話しはじめる。 「ふたりだけの卒業旅行計画とか企ててるんですかっ! そんなのアタシが断固反対許しませんよっ! あっ……そういえば、卒業してくださってまことにありがとうございます元部長様」 ぺこりと頭を下げて、顔を上げたアキはニヤリと笑って和清と腕組みをした。 「邪魔者もいなくなって、カズセンパイと楽しい学園生活を送りますから、どうぞ速やかに卒業しちゃってくださーいねっ!」 「この泥棒猫! カズ君から今すぐ離れて、そして死んで。わたしの目の届かないところで、このアホと過ちを犯そうものならマジで殺してあげるからねカズ君?」 その眼光で今すぐ殺されそうです。 「僕は優輝センパイ一筋ですから!」 和清の股間はもっこりと優輝に向かって一筋に伸びていた。 ギャグマンガのように股間を伸してると思ったら、エロオヤジのような顔をしたアキが、モゾモゾ和清のズボンの中で手を動かしていた。 ブチッ。 こめかみに血管を浮かせた優輝の眼が、真っ赤に血走って狂気を浮かべた。 そして! 和清のちんこを力の限り鷲掴みにしたッ! 「こんな粗チンへし折ってくれるわ! わたしにはケツマンコさえあればいいの、こんなお粗末な飾りなんていらないのよッ!」 真っ青な顔をして泡を噴きそうになっている和清。折れなくても壊死はしそうだ。 アキが慌ててちんこを奪おうとした。 「それはアタシのオモチャなんですから折らないでくださいよっ!」 ちんこの奪い合いがはじまり、ズボンが脱がされ、トランクスが投げられ、あっという間に和清の下半身は丸出しに。 ついでにアキもショーツを脱ぎ捨て、ぷりぷりのお尻を和清に向けて突き出した。 「カズセンパイは挿入るほうが好きなんですよね?」 負けじと優輝もショーツを脱ぎ捨て凜と勃ち上がった。 「ハァ? なに言ってるの、カズ君はねェ、挿入られるほうが好きなの!」 ズボボボッ! 前と後ろ、同時に合体した。 肉棒を包み込む温かく優しい快感。 直腸を貫く電撃のような一撃。 サンドウィッチ状態にされた和清は快感のあまり身悶えた。 「あううううっ、僕は優輝センパイが好きです! でも、挿入られるのも挿入るのも……好きなんです」 怪訝そうな顔をして優輝は腰を激しく突き上げる。 「はァ? もっかい言ってみてくれるかなァ、カズくぅ~ん?」 嬉しそうな顔をしてアキはお尻を振った。 「アタシはその答えで満足ですから。本妻じゃなくて愛人でいいですし、楽しく気持ちよく過ごせればそれでいいっていうか」 ズッコンバッコン! 「ぼ、ぼく……もう……イッちゃい……ます!」 「早すぎカズ君! こいつの中で出すなんて許さないから!」 優輝は勢いよく和清の身体を腰を引っ張った。 ズン! さらに奥まで優輝のモノが突いた瞬間、教室に乳白色の花が咲いた。 「イクぅーーーーーッ!」 どぴゅ、どぴゅ、どぴゅーーーん! 卒業おめでとう。 でもきっと、和清を取り巻く環境は、あしたも同じような日常を刻んでいくのだろう。 「わたし以外じゃイカないって言ったのにぃ~ッ、マジで死ね!」 「ひぃぃぃぃぃ~~~っ!」 ふぉーえばー おしまい |
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